はじめに
シリアの首都ダマスカス近郊に位置するサイドナヤ刑務所は、中東における最も悪名高い軍事刑務所の一つとして知られています。
その凄惨な歴史と非人道的な扱いが国際社会で広く非難されてきました。
この記事では、サイドナヤ刑務所の歴史、実態、そして国際的な反応について詳しく解説します。
サイドナヤ刑務所の概要
そしてサイドナヤの特徴はなにも殺傷を目的としたサディスティックな拷問だけではない。その最大の特徴は、組織的に行われる集団処刑である。サイドナヤには絞首刑を実行する「処刑部屋」が設置されており、これまでに少なくとも1万3000人が処刑されたのだ。処刑は毎週1回〜2回にわたり行われてきた。… pic.twitter.com/8aW6jfVGhJ
— Icchiku Yamada (@IcchikuYamada) December 9, 2024
サイドナヤ刑務所(アラビア語: سجن صيدنايا)は、シリアのダマスカスから約30km離れた農村地帯にあります。
1987年に建設され、主に政治犯、イスラム主義者、軍事関係者を収容する施設として運営されてきました。
その場所の名にちなんで刑務所名が付けられましたが、内部で繰り返される虐待や処刑の数々から「赤の刑務所」(السجن الأحمر)とも呼ばれています。
歴史と主な事件
サイドナヤ刑務所は、主に反政府勢力やイスラム主義者の収容施設として利用されてきました。
特に注目された出来事は次の通りです:
- 1987年の設立: サイドナヤ修道院近くに建設され、地上部と地下部からなる厳重な収容施設として運営が始まりました。
- 2008年の暴動: 刑務所内で暴動が発生し、多数の収容者が死亡しました。暴動は収容者の過酷な処遇に対する抗議が引き金でした。
- 2011年のシリア内戦: 反政府デモが拡大する中、多くのイスラム主義者が恩赦を受けて釈放されました。その後、これらの元収容者が反政府武装組織を率いるようになりました。
- 2017年のアムネスティ報告: 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは、サイドナヤ刑務所で2011年から2015年の間に最大13,000人が違法に処刑されたと報告しました。絞首刑や拷問が日常的に行われ、秘密裁判が頻繁に行われていたとされています。
国際社会からの非難と対応
サイドナヤ刑務所での人権侵害は、国際社会からの激しい非難を受けてきました。
- アメリカ政府の非難: 2017年、アメリカ政府は刑務所内に火葬場が設置されている可能性があると主張し、シリア政府を強く非難しました。
- 国際人権団体の報告: アムネスティ・インターナショナルをはじめとする多くの国際団体が、刑務所内での拷問、不公平な裁判、独断的な死刑執行などを詳細に報告し、改善を求めました。
サイドナヤ刑務所の影響と現在
2024年、アサド政権が崩壊し、サイドナヤ刑務所は公式に解放されました。
内部には秘密施設があると長年噂されていましたが、ホワイト・ヘルメットの調査では確認されませんでした。
人権問題の象徴としてのサイドナヤ刑務所 まとめ
サイドナヤ刑務所は、シリア内戦の混乱と抑圧の象徴として歴史に刻まれています。
国際社会からの非難と人権団体の報告により、その存在が広く知られるようになりました。
現在もシリアの人権問題は解決されていないものの、サイドナヤ刑務所の解放は、長年の苦しみに終止符を打つ一歩として期待されています。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。(^^♪