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三菱商事の洋上風力発電事業!522億円減損で見える再生可能エネルギーの課題

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はじめに

日本のエネルギー政策において、洋上風力発電は脱炭素社会実現への切り札として期待されてきました。

特に2040年までに最大4500万キロワット(原発45基分)という政府目標は、その期待の大きさを表しています。

しかし2025年2月、この期待を象徴する大型プロジェクトに暗雲が立ち込めました。三菱商事が国内3海域の洋上風力発電事業で522億円という巨額の減損損失を計上したのです。

わずか3年前、同社は画期的な低価格で入札に勝利し、業界の注目を集めていました。この展開は、再生可能エネルギー事業が直面する現実的な課題を浮き彫りにしています。

三菱商事の野心的な洋上風力プロジェクト

三菱商事は2021年12月、国内初となる大規模洋上風力発電事業の「第1ラウンド」公募において、秋田県と千葉県の3海域の事業権を獲得しました。

このプロジェクトは総事業費が1兆円規模という巨大なものでした。入札時、三菱商事は1キロワット時あたり11.99〜16.49円という驚異的な安値で落札。

これは入札上限価格29円を大きく下回る価格でした。

競合他社からの懸念の声

当時、競合他社からは「価格破壊」「採算が取れない」という批判の声が上がりましたが、中西勝也社長は「採算を取れる値段を算出した結果」と自信を示していました。

事業環境の激変と直面する課題

予期せぬ外部環境の変化

2025年2月、三菱商事は洋上風力発電事業に関連して522億円の減損損失を計上することを発表しました。その背景には以下のような要因がありました:

  • 世界的なインフレの加速
  • 円安の進行
  • サプライチェーンの逼迫
  • 金利上昇
  • 地政学的リスクの増大

コスト増大の具体的影響

特に深刻な影響を与えているのが建設資材の高騰です:

  • 鉄鋼価格:2020年比で2倍以上に上昇
  • 風車調達価格:1.5〜1.8倍に上昇

今後の展望と課題

ゼロベースでの計画見直し

現在、三菱商事はプロジェクトの最終投資決定に至っておらず、主要機器の発注もこれからという段階です。

中西社長は「ゼロベースで計画を見直す」と表明し、事業性の再評価を進めています。

地域への影響

このプロジェクトの見直しは地域にも大きな影響を与えています:

  • 秋田県:2026年3月予定だった着工の遅延
  • 千葉県銚子沖:2024年1月予定の工事開始が未着手
  • 地元業者への影響が既に顕在化

今後の洋上風力発電事業の展望:まとめ

政府は第4ラウンド以降の入札では、物価変動を売電価格に40%まで反映できるようルール改正を検討しています。

また、既存のプロジェクトについても、計画変更時点から着工までの物価動向を売電価格に反映できる仕組みを議論中です。

三菱商事の事例は、再生可能エネルギー事業が直面する現実的な課題を浮き彫りにしています。

環境に優しいエネルギーへの転換は重要ですが、事業としての採算性と持続可能性のバランスをどう取るかが、今後の重要な課題となっています。

地域創生や産業振興の観点からも期待が高い本プロジェクト。三菱商事には、できるだけ早期のプロジェクト立て直しが求められています。

最後までお読み頂きましてありがとうございました。(^^♪

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