はじめに
福岡県糸島市で試みられた電子マネー詐欺対策のダミーカード作戦について、その効果と課題を深く考察していきます。
特殊詐欺被害が増加する中、新たな防止策として注目されるものの、予想外の展開を迎えることとなったこの取り組みを詳しく見ていきましょう。
今回は、電子マネー詐欺防止の秘策についてご紹介します
目次
ダミーカード作戦とは
電子マネー詐欺防止の「秘策」ダミー販売急停止 コンビニ側の言い分https://t.co/rBa6NXyeZf
— 毎日新聞 (@mainichi) December 30, 2024
電子マネーをだまし取る特殊詐欺被害を防ごうとコンビニの陳列棚に「ダミーカード」を並べる対策に、コンビニ業者や発行事業者が「待った」をかけています。なぜなのか、取材しました。
背景にある深刻な被害実態
2023年の警察庁の統計によると、電子マネーを購入させる手口による特殊詐欺は3370件に上り、被害総額は21.5億円に達しています。
手口としては、PCやスマートフォンに偽のウイルス感染警告を表示させ、対処費用として電子マネーカードの購入を強要するというものが典型的です。
ダミーカードの仕組み
糸島市が計画していたダミーカード作戦は、「ウイルス除去専用電子マネー」という文言を印刷した偽のカードを、実際の電子マネーカードと並べて陳列するというものでした。
この作戦の狙いは、詐欺の被害に遭いかけている人の目に留まりやすくし、レジでの購入時に店員が声掛けすることで被害を未然に防ぐことにありました。
期待された効果と実績
他県での成功例
長野県や福井県では既にダミーカードを導入しており、実際に詐欺被害の防止に成功していました。
この実績を受けて、糸島市でも市民からの要望もあり、導入を検討することになりました。
導入に向けた取り組み
2024年7月には福岡県警糸島署を含む協議会で導入が了承され、9月には市内の10店舗のコンビニエンスストアを訪問し、多くの店長から賛同を得るところまで進んでいました。
突如浮上した課題
事業者からの異議
計画が具体化する中、電子マネー発行事業者とコンビニ業者から予想外の反対の声が上がりました。
主な懸念点として以下が挙げられました:
- 一般利用客に誤解を与える可能性
- 商品としての本来の価値を損なう恐れ
- 限られた売り場面積への影響
- 商売としての誠実さとの整合性
大手コンビニの対応
セブン&アイ・ホールディングス、ローソン、ファミリーマートといった大手チェーンは、いずれもダミーカードの陳列を認めない方針を示しました。
ただし、各社とも特殊詐欺防止の重要性は認識しており、代替策として店員による声掛けや店内放送による注意喚起などを実施しています。
専門家の見解と今後の展望 まとめ
犯罪学の専門家である立正大学の小宮信夫教授は、ダミーカードについて「被害者の心理をついた良策」と評価しています。
また、事業者側の懸念は理解しつつも、利用者の被害防止という観点から、この取り組みは推奨されるべきだと指摘しています。
特殊詐欺被害が増加傾向にある中、効果的な対策の確立は急務となっています。
ダミーカード作戦は、その有効性が認められながらも、様々な利害関係者との調整が必要な課題として浮き彫りとなりました。
今後は、事業者の懸念に配慮しながら、より効果的な防止策を模索していく必要があるでしょう。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。(^^♪