はじめに
日本の国民健康保険(国保)制度における外国人の加入について、近年様々な議論が交わされています。
特にSNSなどで「タダ乗り」という批判が広がる中、実態はどうなのでしょうか。
前デジタル大臣の河野太郎氏の見解を基に、この問題について詳しく見ていきましょう。
外国人の国保加入の現状
河野氏、外国人が日本の医療にタダ乗り説に見解–悪用対策に「マイナ」活用も https://t.co/4uGzOcB4nP
— CNET Japan (@cnet_japan) February 16, 2025
加入者数と医療費の実態
現在、国民健康保険の被保険者総数は2508万人で、そのうち外国人被保険者は92万人と全体の3.6%を占めています。
注目すべき点は、外国人の医療費が全体の1.4%弱にとどまっているということです。これは、外国人加入者の平均年齢が日本人と比べて若いことが大きな要因となっています。
一人当たりの医療費を見ると、外国人は年間約13万円と比較的低い水準にあります。
このことから、河野氏は外国人の国保加入が財政にとってはむしろプラスの効果をもたらす可能性があると指摘しています。
制度の変遷と現行ルール
2012年の法改正により、外国人の国保加入要件が「1年以上の滞在」から「3カ月以上の滞在」へと緩和されました。
現在、中長期在留外国人は、健康保険や協会けんぽに加入していない場合、国民健康保険への加入が義務付けられています。
直面する課題と問題点
なりすましと不正利用
外国人による国保の不正利用、特になりすましの問題は深刻な課題として認識されています。
この問題に対して、在留カードとマイナンバーカードの一体化や、在留外国人へのマイナ保険証の義務化といった対策が提案されています。
医療目的の長期滞在
より深刻な問題として、既知の病気の治療を目的として来日し、国保に加入するケースが挙げられます。
表向きは留学や就労を目的として来日しながら、実質的には治療目的で滞在するという手法が問題視されています。
2019年以降、34件の不正利用が発覚していますが、これが氷山の一角である可能性も指摘されています。
現行制度では、加入から1年以内に高額療養費等を申請し、在留資格本来の活動をしていないと判断された場合、地方入国管理局への通知が行われます。
解決に向けた取り組み
制度改革の方向性
国保制度の健全な運営のために、以下のような対策が検討されています:
- マイナンバーカードと在留カードの一体化による本人確認の強化
- 在留外国人へのマイナ保険証義務化
- 不正利用の監視体制の強化
短期滞在者への対応
3カ月以内の短期滞在者については国保加入の対象外となっていますが、未収医療費の問題が存在します。
この課題に対して、短期滞在の外国人に対する民間医療保険への加入義務化が検討されています。
外国人の国保加入とは:まとめ
外国人の国保加入問題は、一般に言われているような「タダ乗り」の実態とは異なり、むしろ財政的にはプラスの側面も持ち合わせています。
しかし、なりすましや医療目的での不正利用といった課題も存在します。
これらの問題に対しては、マイナンバーカードの活用や制度の厳格化といった対策が進められていますが、同時に真に必要な医療へのアクセスを確保しながら、不正利用を防ぐバランスの取れた制度設計が求められています。
最後までお読み頂きましてありがとうございました。(^^♪















