はじめに
かつて「未来の船」として注目を集めたホーバークラフト。
2024年、大分県で16年ぶりに旅客船としての定期運航が復活することが決まり、再び注目を集めています。
空を飛ぶような独特の走行方式を持つこの特殊な船の魅力と課題について解説します。
目次
ホーバークラフトの仕組みと特徴
■今人気の記事■ 【絶滅危惧船「ホーバークラフト」大分で復活の理由】 定期運航は世界で1カ所のみの"爆音"珍乗り物 #東洋経済オンラインhttps://t.co/Li2ipaWcz2
— 東洋経済オンライン (@Toyokeizai) December 29, 2024
海面上を”飛ぶ”独特の推進方式
ホーバークラフトの最大の特徴は、通常の船とは全く異なる推進方式にあります。
船体下部に装備された「スカート」と呼ばれるゴム状の部分に空気を送り込み、エアクッションを形成。
この圧縮空気により船体を持ち上げ、海面上数十センチの高さを”飛ぶ”ように進みます。
後部に装備されたプロペラの推進力により、最高時速80kmという高速での航行が可能です。
これは一般的なフェリーの約2倍の速さにあたります。さらに、陸地でも同様の速度で走行できるという特徴を持っています。
フェリーにない独自の利点
一般的なフェリーが水の抵抗を受けながら時速40km程度で航行するのに対し、ホーバークラフトは海面から浮き上がることで抵抗を大幅に軽減。
その結果、圧倒的な速度を実現しています。また、陸地も走行できることから、まさに「船・飛行機・バスの良いとこどり」とも評される存在です。
世界での活躍と衰退
1960年代からの広がり
1966年、英仏間のドーバー海峡で初めて旅客船として就航したホーバークラフトは、その後、世界各地で運航されるようになりました。
デンマーク・スウェーデン間や香港の島々を結ぶ航路、日本国内でも岡山-香川間の宇高航路や大阪-徳島航路など、様々な地域で活躍しました。
衰退の要因
しかし、いくつかの課題が重なり、多くの航路が廃止に追い込まれました。
主な要因として以下が挙げられます:
- 船体を大きくできず、乗客数が一般的なフェリーの1/2~1/3程度に限定される
- 燃費が悪く、メンテナンスコストが高い
- 強風や横風に弱く、欠航が多い
- 大きな騒音が発生し、環境問題の原因となる
- 乗り心地の面で課題があり、リピーターの確保が難しい
現代における新たな可能性
興味深いことに、軍事用や災害救助用としてのホーバークラフトは現在も活躍を続けています。
2024年の能登半島地震では、道路が寸断された地域への重機搬入にホーバークラフト(エアクッション型揚陸艇)が活用されました。
また、大分県での定期航路復活は、空港アクセスという明確な目的と、技術の進歩による課題解決が期待されています。
かつての課題を克服し、特定の用途に特化することで、ホーバークラフトは新たな可能性を見出そうとしています。
ホーバークラフトとは まとめ
この特殊な乗り物は、一般的な旅客船としては課題を抱えながらも、特定の目的や条件下では他の交通手段にない独自の価値を発揮できることが、改めて注目されています。
大分での運航再開が、ホーバークラフトの新たな可能性を示す重要な一歩となることが期待されます。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。(^^♪