はじめに
東北電力の女川原子力発電所2号機が、新規制基準後の安全対策工事を終え、運転再開の準備を進めている。
今回は、この発電所の基本的な仕様や特徴、採用されている技術について詳しく解説します。
目次
基本スペック
東北電力 女川原発2号機の原子炉を再び起動https://t.co/RKvgcIA2qP #nhk_news
— NHKニュース (@nhk_news) November 13, 2024
女川原発2号機の主要な仕様は以下の通りです。
・定格電気出力:82.5万キロワット
・原子炉型式:改良型沸騰水型軽水炉(BWR-5)
・メーカー:東芝 ・運転開始:1995年7月
・燃料集合体:764体
・原子炉圧力容器の大きさ:高さ約22m、直径約6m
・格納容器の形式:マークI改良型
沸騰水型軽水炉(BWR)の特徴
女川2号機に採用されている沸騰水型軽水炉は、以下のような特徴があります。
直接サイクル方式
・原子炉で発生した蒸気を直接タービンに送る
・熱効率が比較的高い
・システムがシンプル
圧力抑制型格納容器
・事故時の圧力上昇を抑制
・コンパクトな設計が可能
・建設コストの低減に寄与
東芝の技術
東芝は、BWR技術において世界トップクラスの実績を持つメーカーの一つだ。女川2号機には、以下のような東芝の先進技術が採用されています。
- 改良型制御棒駆動機構 ・より確実な原子炉停止機能 ・メンテナンス性の向上 ・長寿命化設計
- 改良型再循環系 ・信頼性の向上 ・運転制御性の改善 ・保守作業の効率化
- 新型燃料設計 ・燃料効率の向上 ・安全裕度の拡大 ・長期運転への対応
出力制御システム
82.5万キロワットという大規模な出力を安定的に制御するため、以下のようなシステムが導入されている。
- 給水制御システム ・原子炉水位の精密制御 ・出力変動の抑制 ・運転安定性の向上
- タービン制御システム ・蒸気圧力の安定化 ・負荷変動への迅速な対応 ・効率的な発電制御
- 再循環流量制御 ・炉心流量の最適化 ・出力の微細調整 ・運転柔軟性の確保
安全システムの特徴
原子力発電所の安全性確保のため、多重の安全システムが装備されています。
- 非常用炉心冷却装置(ECCS) ・高圧注水系 ・低圧注水系 ・自動減圧系
- 原子炉隔離時冷却系(RCIC) ・電源喪失時でも作動可能 ・蒸気駆動式ポンプを採用 ・長時間の冷却機能維持
- フィルタベント設備 ・放射性物質の大幅低減 ・確実な減圧機能 ・環境への影響最小化
運転管理システム
プラントの安全・安定運転を支援する最新のシステムが導入されています。
- 総合デジタル制御システム ・運転情報の一元管理 ・異常の早期検知 ・運転員の負担軽減
- 予防保全システム ・機器の状態監視 ・劣化予測 ・最適な保守計画の立案
発電効率と環境負荷
女川2号機は、以下のような特徴で高い発電効率と環境性能を実現しています。
- 高効率タービン ・最新の翼形状採用 ・損失の最小化 ・長期信頼性の確保
- 復水器の性能向上 ・熱効率の改善 ・冷却水使用量の最適化 ・環境負荷の低減
女川原発2号機 まとめ
女川原発2号機は、東芝の技術力を結集した改良型沸騰水型軽水炉として、高い安全性と信頼性を備えている。
82.5万キロワットという大規模な出力は、東北地方の電力供給に重要な役割を果たすことが期待されている。
新規制基準に適合した安全対策工事により、さらなる安全性の向上が図られ、運転再開後は、安定的な運転実績を積み重ねていくことが求められる。
今後も技術革新や運転経験を活かしながら、より安全で効率的な運転を続けていくことが、原子力発電所運営の基本となるだろう。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。(^^♪
女川原発2号機、東日本大震災後初の再稼働へ