トランプ大統領が失敗するとは?エマニュエル・トッドが指摘する「熟練労働者不足」と「ドル覇権」の矛盾

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はじめに

米大統領選で圧倒的な勝利を収め、2度目の大統領職に就任したドナルド・トランプ氏。

「黄金時代の到来」を掲げる一方で、フランスの著名な人類学者エマニュエル・トッド氏は、トランプ政権の将来的な失敗を予見しています。

その根拠となる構造的な問題を解説しましょう。

トランプ氏再選の背景にある民主党の敗因

2024年の大統領選では、トランプ氏は前回2017年の僅差での勝利とは異なり、選挙人票と得票数の両方で明確な勝利を収めました。

しかし、トッド氏の分析によれば、この勝利の本質は「トランプへの熱狂」というよりも「民主党への失望」にあるという。

カマラ・ハリス氏率いる民主党は、食費や家賃の高騰など、一般市民が直面する切実な経済問題に対する有効な解決策を示せなかったのです。

代わりに掲げたテーマの多くは、有権者の現実的な課題とかけ離れており、自己満足的なものと映ったとトッド氏は指摘。

トランプ政権が直面する二つの構造的問題

熟練労働者の不足という壁

トッド氏は、トランプ大統領の政策には「常識的」な側面があることを認めつつも、その実現可能性については悲観的な見方を示しています。

その第一の理由が、アメリカにおける熟練労働者の不足です。

ドイツの経済学者フリードリッヒ・リスト氏の理論を引用しながら、トッド氏は保護主義政策の成功には熟練労働者の存在が不可欠だと指摘。

しかし、現代のアメリカではその基盤が失われています。

例えば、人口がロシアの2倍以上あるにもかかわらず、エンジニアの輩出数では後れを取っているという現状です。

ドル覇権がもたらすジレンマ

第二の問題として、トッド氏はドル覇権の存在を挙げています。

トランプ大統領はBRICS諸国の脱ドル化に対して強硬な姿勢を示していますが、皮肉にもドル覇権こそがアメリカの産業発展を阻害する要因となっているというのです。

高学歴層の多くが製造業やエンジニアリングではなく、金融セクターなどドルの源泉に近い職種を選択する傾向が強まっています。

この結果、エンジニア不足という構造的問題が解消されず、産業の空洞化が進行しています。

アメリカ帝国の周辺化現象

特筆すべきは、先端産業や工作機械の生産分配において、アメリカ本国が「空洞」となり、日本、韓国、台湾などの周辺地域が活性化している現象です。

トッド氏はこれを、「アメリカという肉体の血液が、体の末端に散っていった」と比喩的に表現しています。

イスラエルの例に見られるように、アメリカは同盟国の技術に依存する状況も生まれており、帝国の中心部の弱体化が顕著となっています。

トランプ大統領は外国企業との競合を問題視しているが、実際の課題は国内の産業構造にあるとトッド氏は指摘。

このように、トランプ政権は「常識的」な政策方針を掲げながらも、アメリカが抱える構造的な問題に対する本質的な解決策を見出せていません。

トッド氏の分析は、単なる「常識」だけでは克服できない、現代アメリカの深刻な課題を浮き彫りにしています。

最後までお読み頂きましてありがとうございました。(^^♪

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