はじめに
日本各地には、古き良き町並みが今も残る地域があります。こうした貴重な歴史的景観を守るために制定されたのが、「重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)」という制度です。これは、歴史的な建物や町並みを保護し、後世に受け継ぐための文化財保護制度の一つで、全国に100ヵ所以上が選定されています。
では、重伝建地区とは具体的にどのような場所なのか? また、選定される条件や、実際に訪れることができるおすすめの地域は?本記事では、重伝建地区の概要や役割、魅力的な観光スポットまで詳しく解説します!
重伝建地区の定義と目的
古い町並み残る松江市美保関地区、重伝建地区の選定めざし審議会発足 https://t.co/YXYyJqmJ9M 松江市は13日、国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)に古い町並みが残る美保関地区を選定してもらおうと、保存審議会を立ち上げた。初会合が同日開かれ、2026年度中の選定を目指し、保存地区の…
— museumnews jp (@museumnews_jp) February 16, 2025
重要伝統的建造物群保存地区(略称:重伝建地区)は、文化財保護法に基づいて指定される文化財の一つです。
城下町、宿場町、門前町、港町など、歴史的な町並みが良好に保存されている地区を、国が文化財として選定する制度です。
この制度の特徴は、個々の建物を「点」として保存するのではなく、町並み全体を「面」として保存することにあります。
建造物だけでなく、それを取り巻く環境も含めて一体的に保護することで、地域の歴史的な景観を総合的に守ることができます。
保存対象となる要素
重伝建地区では、以下のような要素が保存の対象となります:
建築物
- 社寺
- 民家
- 蔵
- その他の歴史的建造物
工作物
- 門
- 土塀
- 石垣
- 水路
- 石塔
- 燈籠
環境物件
- 庭園
- 生垣
- 樹木
- 水路システム
選定の基準と手続き
重伝建地区に選定されるためには、以下の基準を満たす必要があります:
- 伝統的建造物群が全体として意匠的に優秀であること
- 伝統的建造物群および地割が良好に保存されていること
- 伝統的建造物群とその周囲の環境が地域的特色を顕著に示していること
選定の手続きは、まず市町村が条例で伝統的建造物群保存地区を定め、その後、市町村からの申し出を受けて文部科学大臣が重要伝統的建造物群保存地区として選定します。
重伝建地区選定のメリット
重伝建地区に選定されることで、地域には以下のようなメリットがあります:
- 建物の修繕費に対する国からの補助金が受けられる
- 文化財としての価値が公的に認められる
- 観光資源としての活用が期待できる
- 地域のアイデンティティの保存・強化につながる
現状と今後の展望
2024年8月時点で、日本全国に129地区が重伝建地区として選定されています。
これらの地区の合計面積は約4,066ヘクタールに及び、約30,680件の伝統的建造物および環境物件が保護されています。
最近では、松江市美保関地区のように、新たに重伝建地区の選定を目指す動きも活発化しています。
これは、歴史的な町並みを保存することが、単なる文化財保護にとどまらず、地域の活性化や観光振興にもつながるという認識が広がっているためです。
重伝建地区制度は、日本の伝統的な町並みを守り、次世代に引き継いでいくための重要な仕組みとして、今後もますます重要性を増していくことでしょう。
地域の歴史と文化を活かしたまちづくりの核として、この制度のさらなる活用が期待されています。
最後までお読み頂きましてありがとうございました。(^^♪