はじめに
「悪魔の兵器」と呼ばれる地雷。その恐ろしい別名の通り、地雷は戦時中だけでなく、戦後も長きにわたって罪のない人々の命を奪い続けます。
2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻以降、ウクライナの国土の約4分の1が地雷に汚染され、多くの市民が犠牲になっています。
しかし、この深刻な状況に立ち向かう日本人がいます。建設重機メーカー「日建」の会長・雨宮清氏は、独自に開発した地雷除去機でウクライナの地雷除去に挑戦しています。
本記事では、雨宮氏の30年に及ぶ地雷除去への取り組みと、ウクライナでの新たな挑戦についてご紹介します。
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ウクライナを蝕む”悪魔の兵器”の実態
ロシアによるウクライナ侵攻から3年が経過した今、ウクライナの国土は目に見えない脅威に覆われています。
その脅威こそが、「悪魔の兵器」と呼ばれる地雷です。国土の約4分の1が地雷に汚染され、世界最悪の汚染状況とされています。
2025年1月時点のOHCHRの調査によると、一般市民の犠牲者は死亡者415人、負傷者982人に達しています。
地雷が「悪魔の兵器」と呼ばれる理由は、その無差別性にあります。
軍人と民間人を区別せず、紛争が終結した後も長期にわたって人々の命を脅かし続けるためです。
ウクライナでは、ロシア軍の侵攻以来、推定200万個以上の地雷が仕掛けられたと言われています。
日本の技術者が開発した革新的な地雷除去機
あす21日(金)は【悪魔の兵器と闘う!】
— ガイアの夜明け 番組公式X(ツイッター) (@gaia_no_yoake) February 20, 2025
ロシアの侵攻開始から3年…ウクライナはある惨忍な兵器に脅かされている。その脅威を取り除く闘い続ける一人の日本人と祖国を守るウクライナの精鋭たちの挑戦に密着!今後、何十年も人々を苦しめ、復興も妨げる”悪魔の兵器”との闘い…ぜひご覧ください! pic.twitter.com/B2xtBGBkB2
「日建」会長・雨宮清氏の挑戦
この危機的状況に立ち向かう一人の日本人がいます。建設重機メーカー「日建」の会長、雨宮清氏です。
彼の地雷除去への取り組みは、1994年のカンボジア訪問がきっかけでした。
内戦後の復興支援で訪れた際、地雷で足を失った老人との出会いが、その後の人生を大きく変えることになりました。
独自の地雷除去技術の開発
雨宮氏は建設重機の技術を応用し、「ロータリーカッタ」と呼ばれる独自の地雷除去機を開発しました。
高速で回転する金属の刃で地雷原を掘り起こし、地雷を爆発させて破壊する仕組みです。対戦車用の強力な地雷にも耐えられる強度を持ち、作業員の安全性を最優先に設計されています。
ウクライナ支援への新たな挑戦
政府からの要請と技術革新
2023年3月、ゼレンスキー大統領からの支援要請を受け、日本政府は「日建」に12台の地雷除去機の製造を依頼しました。
雨宮氏は戦時下での使用を想定し、より強固な設計に改良。6.6センチの防弾ガラスを備えた操縦席や、がれきや木などの障害物も除去できる着脱可能な先端部分など、新機能を追加しました。
ウクライナの精鋭部隊への技術伝承
2024年7月、ウクライナから14名の精鋭地雷処理員が来日し、山梨県の「日建」本社で2週間の特別訓練を受けました。
その後、カンボジアで1カ月の実地訓練を行い、実践的なスキルを習得。
注目すべきは、この地雷除去機が森林地帯でも使用できる点で、これは既存のヨーロッパ製の機器にはない特徴です。
継続する支援と課題:まとめ
雨宮氏の開発した地雷除去機は、現在世界11カ国で151台が稼働しています。
しかし、開発費に対する国の支援はなく、事業としては赤字が続いているのが現状です。それでも雨宮氏は、本業の収益で補いながら開発を継続しています。
「世界中、手がつけられない状況の中で、日本人としての誇りを持って挑戦したい」という雨宮氏の言葉には、技術で世界の平和に貢献しようとする強い決意が込められています。
地雷除去という困難な課題に対し、日本の技術力が新たな希望の光を投げかけています。
最後までお読み頂きましてありがとうございました。(^^♪