旧正月は日本でどう過ごす？日本との関係・違い・イベントまで完全解説

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はじめに

春節や旧正月という言葉を耳にしたことはありますか？中国や韓国では国を挙げて盛大にお祝いされるこの行事ですが、日本では新暦の1月1日にお正月を祝うのが一般的です。

しかし、日本にも旧正月の文化が残る地域や、中華街を中心に春節を楽しめるスポットが存在します。この記事では、旧正月と日本の関係、現代日本での楽しみ方、観光への影響まで詳しく解説します。

日本では旧正月を祝う？現代と歴史の違いをわかりやすく解説

旧正月とは何か？中国・韓国との繋がりを解説

旧正月とは、太陰太陽暦（旧暦）に基づいて定められる新年のことです。中国では春節、韓国ではソルラルと呼ばれ、東アジア圏で最も重要な祝祭日の一つとされています。旧暦では月の満ち欠けを基準にするため、新暦の1月下旬から2月中旬の間で毎年日付が変動します。

中国や韓国、台湾、ベトナムなどでは、旧正月は家族が集まり、先祖を敬い、新年の幸福を願う大切な行事です。数日から一週間程度の大型連休となり、帰省ラッシュが発生するほど重要視されています。日本もかつては同じ旧暦を使用していたため、旧正月を祝う文化を共有していました。

日本が旧暦から新暦に切り替えた理由とは

日本が旧暦から新暦（グレゴリオ暦）に切り替えたのは、1873年（明治6年）のことです。明治政府は欧米列強に並ぶ近代国家を目指す中で、国際標準である太陽暦の採用を決定しました。この改暦には、財政的な理由もありました。旧暦では閏月が挿入されるため、年によっては13か月分の給与を支払う必要がありましたが、新暦に変更することでこれを回避できたのです。

改暦は非常に急で、明治5年12月3日が明治6年1月1日となりました。この突然の変更により、人々の生活は大きく変わりましたが、政府の方針により新暦が公式な暦として定着していきました。

日本の一部地域で旧正月文化が残る場所（沖縄・奄美など）

現代の日本でも、一部の地域では旧正月の習慣が色濃く残っています。特に沖縄県では、旧正月を「ソーグヮチ」と呼び、新暦の正月よりも重視する家庭が今でも多く存在します。旧正月には仏壇に手を合わせ、親戚を訪ね、伝統的な料理を囲んで家族で過ごす風習が続いています。

奄美群島でも旧正月を祝う文化が残っており、地域によっては集落全体で行事を行うこともあります。これらの地域では、沖縄戦や薩摩藩による支配など独自の歴史的背景があり、本土とは異なる文化的アイデンティティを保持してきました。そのため、旧暦に基づく年中行事が今も大切にされているのです。

明治以降、日本で旧正月の習慣が薄れた背景

明治政府による改暦後、都市部を中心に新暦の正月が急速に浸透しました。官公庁や企業が新暦に基づいて休日を設定したため、人々は新暦の1月1日に正月行事を行うようになりました。学校教育でも新暦が標準とされ、世代を重ねるごとに旧正月の認識は薄れていきました。

また、戦後の高度経済成長期には、都市化と核家族化が進み、地域固有の伝統行事が衰退する傾向が加速しました。マスメディアも新暦の正月を中心に報道するため、旧正月は一般的な日本人の意識から遠ざかっていったのです。現在では、中国系や韓国系のコミュニティ、沖縄などの特定地域を除いて、旧正月を祝う習慣はほとんど見られません。

旧正月と日本の正月は何が違う？文化・習慣・行事を比較

旧正月と新正月の日付が毎年違う理由（旧暦の仕組み）

旧正月の日付が毎年変わるのは、旧暦が月の満ち欠け（朔望月）を基準にしているためです。朔望月は約29.5日で、旧暦では新月の日を毎月1日と定めます。旧正月は旧暦の1月1日、つまり新年最初の新月の日にあたります。

月の周期と太陽の周期（365日）にはズレがあるため、旧暦では約3年に一度、閏月を挿入して調整します。この複雑な仕組みにより、新暦での旧正月の日付は毎年20日から50日ほど変動し、1月下旬から2月中旬の間を移動します。2025年の旧正月は1月29日、2026年は2月17日というように、年によって大きく異なるのが特徴です。

中国・韓国・台湾の旧正月の風習と日本の違い

中国の春節では、家中に赤い飾りを施し、爆竹を鳴らして邪気を払います。家族全員が集まって餃子や魚料理を食べる団円飯（年夜飯）が重要視され、お年玉として紅包（ホンバオ）と呼ばれる赤い封筒にお金を入れて渡します。春節期間中は親戚訪問が続き、約一週間の大型連休となります。

韓国のソルラルでは、トックという餅のスープを食べるのが定番で、先祖への祭祀（チャレ）を行います。伝統的な服装である韓服（ハンボク）を着て、家族で過ごすことが多く、セベという新年の挨拶とお辞儀を行います。

一方、日本の正月は新暦の1月1日に祝われ、おせち料理やお雑煮を食べ、初詣に出かけます。お年玉はぽち袋に入れて渡し、門松や鏡餅を飾ります。期間は三が日を中心とした短いもので、仕事始めは1月4日頃が一般的です。

家族行事・食べ物・お祝い方法の違いを一覧で比較

家族行事の違い

中国・韓国・台湾：数日前から準備を始め、大晦日の夜に家族全員で食事。一週間程度帰省し親戚訪問
日本：大晦日の年越しそば、元日の初詣が中心。帰省は2〜3日程度が一般的

食べ物の違い

中国：餃子、魚料理、年糕（ニエンガオ）、春巻き
韓国：トック（餅スープ）、チャプチェ、ジョン（チヂミ）
台湾：火鍋、魚料理、大根餅、年糕
日本：おせち料理、お雑煮、年越しそば

お祝い方法の違い

中国・韓国・台湾：赤い装飾、爆竹や花火、獅子舞や龍舞のパフォーマンス
日本：門松・しめ縄・鏡餅の飾り付け、初日の出を見る、書き初め

休暇期間の違い

中国・韓国・台湾：7〜10日間の大型連休が一般的
日本：三が日が中心、長くても一週間程度

日本で旧正月が一般化しない理由

日本で旧正月が一般化しない最大の理由は、明治時代の改暦以降、社会システム全体が新暦に基づいて構築されてきたことです。官公庁の休日、企業の会計年度、学校の学年、すべてが新暦を前提としています。

また、日本には四季折々の年中行事が新暦に合わせて定着しており、旧正月を祝う必要性を感じる人が少ないという事情もあります。桃の節句（3月3日）、端午の節句（5月5日）なども、本来は旧暦で祝うものでしたが、新暦に移行して定着しました。

さらに、メディアや商業活動も新暦の正月を中心に展開されるため、旧正月の存在自体を知らない日本人も少なくありません。経済的にも、企業が旧正月に合わせて休業することは現実的ではなく、新暦の正月が唯一の年末年始休暇として機能しています。

日本で旧正月を体験できる場所は？中華街・長崎・沖縄のイベントまとめ

横浜中華街の春節イベント（パレード・獅子舞など）

横浜中華街では毎年、旧正月の時期に盛大な春節イベントが開催されます。メインイベントは色鮮やかな衣装を纏った演者たちによる「春節パレード」で、中華街大通りを練り歩く獅子舞や龍舞は圧巻です。獅子舞は商売繁盛や厄除けの意味があり、獅子に頭を噛んでもらうと幸運が訪れるとされています。

期間中は中華街全体が赤や金色の提灯やランタンで装飾され、華やかな雰囲気に包まれます。各店舗では春節限定メニューが提供され、点心や中華まんを食べ歩きながら祭りの雰囲気を楽しめます。夜には爆竹の音（実際には音響効果）が鳴り響き、本場中国の春節を疑似体験できます。

週末には中国雑技団のパフォーマンスや伝統音楽の演奏も行われ、家族連れや観光客で大変賑わいます。入場は無料で、誰でも気軽に参加できるのが魅力です。

神戸・長崎の春節祭の見どころ

神戸南京町でも、横浜に負けない規模の春節祭が開催されます。南京町は日本三大中華街の一つで、旧正月期間中は「春節祭」として様々なイベントが行われます。獅子舞や龍舞のパフォーマンス、中国雑技、伝統楽器の演奏などが楽しめ、広場には特設ステージが設けられます。

また、南京町ならではの点心や肉まん、小籠包などの屋台グルメも充実しており、食べ歩きを楽しむ観光客で賑わいます。夜にはランタンが灯り、ロマンチックな雰囲気に包まれます。

長崎では「長崎ランタンフェスティバル」が開催されます。これは元々、長崎新地中華街の春節祭として始まったもので、現在では長崎市の冬の一大イベントに成長しました。約15,000個のランタンとオブジェが市内中心部を彩り、幻想的な光景が広がります。

皇帝パレードや媽祖行列などの中国色豊かなパレード、龍踊りや中国雑技のパフォーマンスが連日行われ、期間中は数百万人もの観光客が訪れます。中華料理の屋台も多数出店し、本格的な春節の雰囲気を味わえます。

沖縄の旧正月文化（初詣・家族行事・市場の混雑）

沖縄では旧正月を「ソーグヮチ」と呼び、今でも多くの家庭で祝われています。新暦の正月よりも重要視する人も多く、親戚一同が集まって先祖を敬い、家族の絆を確かめ合う大切な日です。

旧正月の朝には、仏壇に手を合わせて先祖に感謝の気持ちを伝えます。その後、親戚の家を訪問し、ソーグヮチの挨拶を交わします。食卓には沖縄の伝統料理である中身汁（豚の内臓のスープ）、イナムドゥチ（白味噌仕立ての豚肉料理）、三枚肉の煮付けなどが並びます。

市場では旧正月前から買い物客が増え始め、特に牧志公設市場や農連市場は大変な賑わいを見せます。豚肉や魚、野菜などの食材が飛ぶように売れ、年末の築地市場のような活気に包まれます。

また、沖縄では旧正月に初詣に出かける人も多く、波上宮や普天満宮などの神社は参拝客で混雑します。本土とは異なり、旧暦に基づいた行事が今も生活に根付いているのが沖縄の特徴です。

旧正月に楽しめる日本各地の関連イベント

日本各地には、三大中華街以外にも旧正月関連のイベントがあります。東京池袋の「池袋チャイナタウン」では、中国系住民が多く暮らしており、春節期間中は中国料理店が特別メニューを提供したり、小規模ながら春節イベントが開催されることがあります。

大阪の難波や心斎橋周辺でも、中華系のレストランやショップが春節を祝う装飾を施し、特別セールやイベントを行います。在日中国人コミュニティによる春節パーティーが開かれることもあります。

また、東京や大阪の中国大使館・領事館では、春節を祝うレセプションが開催され、中国文化を紹介するイベントが行われることがあります（一般公開される場合もあります）。

さらに、日本各地の大学では、中国人留学生会が主催する春節パーティーが開かれ、中国伝統芸能の披露や中華料理の振る舞いなどが行われます。これらのイベントは、一般の人でも参加できる場合があります。

旧正月はいつ？毎年変わる理由と日本への影響（観光・混雑・インバウンド）

旧正月の日にちが毎年変わる理由（暦の構造）

旧正月の日付が毎年変動するのは、旧暦が月の満ち欠けを基準とした太陰太陽暦だからです。旧暦では新月の日を毎月1日と定め、旧正月は旧暦1月1日、つまり新年最初の新月の日にあたります。

月の満ち欠けの周期（朔望月）は約29.53日で、12か月では約354日となり、太陽年（約365日）より11日短くなります。このズレを調整するため、約3年に一度、閏月を挿入します。この複雑な調整により、新暦での旧正月の日付は1月21日から2月20日の間を移動します。

具体的には以下のような変動があります。

2024年：2月10日
2025年：1月29日
2026年：2月17日
2027年：2月6日
2028年：1月26日

このように、年によって20日以上も日付が前後することがあるのです。

春節に訪日観光客が増える理由と行動パターン

春節期間は中国で最も長い連休となり、多くの中国人が海外旅行に出かけます。日本は地理的に近く、安全で清潔、ショッピングや観光、グルメが楽しめることから、春節の人気渡航先として定着しています。

春節期間の訪日中国人観光客の特徴的な行動パターンとしては、家族や親族での団体旅行が多いことが挙げられます。三世代で訪日するケースも珍しくなく、子供連れの家族が目立ちます。

滞在期間は5〜7日程度が多く、東京、大阪、京都のゴールデンルートを周遊するプランが人気です。近年は北海道のスキーリゾートや沖縄のビーチリゾート、九州の温泉地など、多様な目的地が選ばれるようになっています。

消費行動としては、家電製品、化粧品、医薬品、子供用品などの「爆買い」が知られていますが、最近では体験型観光やグルメ、文化体験への関心も高まっています。春節は家族の幸福を願う時期であるため、お土産購入にも力が入ります。

旧正月シーズンの人気観光地・混雑状況の傾向

春節期間中、日本の主要観光地は大変混雑します。特に訪日中国人観光客に人気のスポットでは、通常時の数倍の人出となることもあります。

東京では、浅草寺、東京スカイツリー、銀座、秋葉原、お台場などが混雑します。免税店や大型家電量販店は終日賑わい、レジ待ちの長い列ができることも珍しくありません。

大阪では、道頓堀、心斎橋、大阪城、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンが人気で、特にUSJは春節期間限定のイベントを開催することもあり、入場制限がかかるほどの混雑となります。

京都では、清水寺、金閣寺、伏見稲荷大社などの有名寺社が混雑し、特に写真撮影スポットでは待ち時間が発生します。また、嵐山や祇園の散策エリアも多くの観光客で賑わいます。

北海道では、札幌雪まつりの時期と重なることが多く、ニセコや富良野などのスキーリゾートは中国人観光客で大変賑わいます。温泉旅館も早期に満室となることが多いです。

ホテルや航空券は春節期間中、価格が高騰し、数か月前から予約が埋まる傾向があります。人気観光地の飲食店も混雑し、特に中華料理店は予約が取りにくくなります。

日本の経済・観光業に与える影響（データ付きで解説）

春節期間の訪日中国人観光客は、日本経済、特に観光業に大きな影響を与えています。観光庁の統計によると、中国は長年にわたり訪日外国人数でトップクラスを維持しており、消費額も最大級です。

春節期間中の訪日中国人観光客数は、通常月の2〜3倍に達することがあります。一人当たりの旅行支出も高く、ショッピング、宿泊、飲食、交通など様々な分野で消費が行われます。特に化粧品、医薬品、家電製品などの小売業、ホテル・旅館などの宿泊業、飲食業、交通業にとって、春節は書き入れ時となっています。

百貨店や家電量販店では、春節期間中に中国語対応スタッフを増員し、銀聯カードやアリペイ、ウィーチャットペイなどの中国系決済サービスに対応するなど、受け入れ態勢を強化しています。免税カウンターも特別体制で営業し、春節商戦に備えます。

観光地の自治体も、春節を見据えたプロモーションを展開し、中国人観光客の誘致に力を入れています。多言語対応の案内表示やパンフレット、Wi-Fi環境の整備など、インバウンド対応が進んでいます。

ただし、近年は新型コロナウイルス感染症の影響や、中国政府の出国政策の変化により、訪日中国人観光客数は変動しています。それでも春節期間が日本の観光業にとって重要な時期であることに変わりはありません。

また、春節期間中の混雑は、日本人観光客にとってはマイナス要因となることもあり、一部の観光地では混雑緩和策やオーバーツーリズム対策が課題となっています。

在日外国人向け：日本で旧正月を過ごすためのヒントとおすすめスポット

日本で旧正月気分を味わうための過ごし方

日本で暮らす中国、韓国、台湾、ベトナムなどの出身者にとって、旧正月は故郷を思い出す特別な時期です。日本では旧正月は通常の平日ですが、工夫次第で旧正月らしい雰囲気を楽しむことができます。

まず、有給休暇を活用して旧正月前後に数日間の休みを取ることをおすすめします。多くの企業では事前に申請すれば休暇取得が可能です。同じ国出身の同僚や友人と調整して、一緒に休みを取るのも良いでしょう。

自宅では、赤い飾り付けや春聯（春節の縁起の良い言葉を書いた赤い紙）を飾って、旧正月の雰囲気を演出できます。これらのアイテムは中華街や中国系スーパーで購入できます。オンラインショップでも入手可能です。

料理も重要な要素です。餃子や魚料理、年糕など、故郷で食べていた旧正月料理を作って家族や友人と楽しみましょう。材料は中華系スーパーや韓国系スーパーで揃えられます。料理を作る時間がない場合は、中華街のレストランで旧正月の特別メニューを予約するのも良いでしょう。

オンラインで故郷の家族とビデオ通話をして、一緒に新年を祝うのも現代的な過ごし方です。時差を考慮して、家族が集まる時間帯に合わせて連絡を取りましょう。

家族や友人と行ける旧正月向けスポット

日本で旧正月を祝うなら、以下のスポットがおすすめです。

横浜中華街、神戸南京町、長崎新地中華街 日本三大中華街では、旧正月期間中に盛大な春節イベントが開催されます。獅子舞や龍舞のパフォーマンス、春節パレード、中華料理の屋台など、本場の雰囲気を味わえます。家族や友人と訪れて、一緒に春節を祝いましょう。

在日中国大使館・領事館の春節イベント 東京や大阪、名古屋などの中国大使館・領事館では、春節を祝うレセプションやイベントが開催されることがあります。事前に情報をチェックして、参加可能なイベントに足を運んでみましょう。

中国系・韓国系コミュニティのイベント 各地の中国人会や韓国人会、留学生会などが主催する春節パーティーやソルラルイベントに参加するのもおすすめです。SNSやコミュニティの掲示板で情報を収集しましょう。同郷の人々と交流し、故郷の文化を共有できる貴重な機会です。

池袋チャイナタウン周辺 東京の池袋には中国系住民が多く暮らしており、中華料理店や中国系スーパーが集まっています。春節期間中は特別メニューを提供する店も多く、旧正月の雰囲気を味わえます。

新大久保のコリアンタウン 韓国系コミュニティが集まる新大久保では、旧正月期間中に韓国料理店がソルラル特別メニューを提供することがあります。トックやチャプチェなど、故郷の味を楽しめます。

中華系スーパーでそろえる「旧正月に必要なもの」

日本国内には、中華系スーパーマーケットが各地に存在し、旧正月に必要な食材や飾り付けアイテムを購入できます。

主な中華系スーパー

友誼商店（東京都内に複数店舗）
華僑服務社（横浜中華街）
陽光城（池袋）
アジアスーパーストア（大阪）
味千拉麺・中華物産（福岡）

これらの店舗では以下のようなアイテムが揃います。

食材

餃子の皮、春巻きの皮
中国野菜（白菜、チンゲン菜、空心菜など）
中華調味料（豆板醤、甜麺醤、紹興酒、XO醤など）
年糕（餅）
冷凍餃子、点心類
魚（鯉や鱸など、旧正月に縁起が良いとされる魚）
豚肉、鶏肉（ブロック肉）
乾物（干し椎茸、海鮮類、クコの実など）

飾り付けアイテム

春聯（縁起の良い言葉を書いた赤い紙）
福の字を書いた赤い飾り
提灯、ランタン
紅包（お年玉用の赤い封筒）
爆竹の飾り（音は出ませんが、装飾用）
中国結び（赤い組紐の飾り）

その他

中国茶、茶器
中華菓子（月餅、ごま団子など）
お香、線香

旧正月の数週間前から、これらのスーパーでは春節用品コーナーが設置され、品揃えが充実します。早めに訪れて必要なものを揃えておくと良いでしょう。

オンラインショップも活用できます。Amazonや楽天市場でも「春節」「旧正月」「春聯」などのキーワードで検索すると、様々な商品が見つかります。ただし、配送に時間がかかることもあるので、余裕を持って注文しましょう。

日本で旧正月のお祝いをする際の注意点

日本で旧正月を祝う際には、いくつか注意すべき点があります。

職場や学校への配慮 日本では旧正月は通常の平日として扱われるため、学校や職場は通常通り営業・授業が行われます。旧正月を理由に休みを取りたい場合は、事前に有給休暇を申請し、上司や先生に理解を得ておくことが重要です。「実家に帰省するため」「家族の大切な行事があるため」など、簡潔に理由を説明すると良いでしょう。

多くの日本人は旧正月について詳しく知らないため、同僚や友人に説明する機会があれば、自国の文化を紹介する良いチャンスとなります。ただし、相手に押し付けるのではなく、興味を持ってもらえるよう丁寧に説明しましょう。

騒音に関する配慮 本国では爆竹を鳴らして祝うことが一般的ですが、日本の住宅事情では実際の爆竹は使用できません。集合住宅では特に、音に関する苦情につながりやすいので注意が必要です。音楽や会話の音量にも気を配り、特に夜間は静かに過ごすよう心がけましょう。

自宅で家族や友人を招いてパーティーをする場合も、近隣住民への配慮を忘れずに。事前に「今日は友人を招いてお祝いをします」と一言挨拶しておくと、トラブル回避につながります。

料理の匂いへの配慮 中華料理や韓国料理には、ニンニクや香辛料を多用するものがあり、匂いが強くなることがあります。集合住宅では換気扇を回す、窓を開けて空気を入れ替える、料理後は消臭スプレーを使うなど、匂い対策を行いましょう。

また、共用の廊下やエレベーターで料理を運ぶ際も、密閉容器に入れるなど、匂いが広がらないよう工夫すると良いでしょう。

ゴミ出しのルール 旧正月のお祝いで大量のゴミが出ることがあります。日本では自治体ごとに厳格なゴミ分別ルールがあるため、必ず地域のルールに従って分別・廃棄しましょう。特に油を使った料理が多い場合、油の処理方法にも注意が必要です。

大量のゴミを一度に出すと、収集されないこともあります。数日に分けて出す、粗大ゴミは事前予約制の場合があるなど、計画的に処理しましょう。

火気の取り扱い 旧正月には線香やろうそくを使う場合がありますが、日本の住宅、特に集合住宅では火災報知器が敏感に反応することがあります。線香を焚く場合は、換気を十分に行い、火災報知器の近くは避けましょう。

また、日本の消防法では、屋内での花火や火を使った装飾は禁止されている場合が多いので注意が必要です。

文化の共有と相互理解 日本で旧正月を祝うことは、自国の文化を大切にすると同時に、日本人に多様な文化を知ってもらう良い機会でもあります。職場や学校、近所の日本人を旧正月のパーティーに招待したり、手作りの餃子や春巻きをお裾分けしたりすることで、文化交流が生まれます。

「お正月を二回祝えていいですね」と言われることもあるかもしれませんが、それぞれの文化には深い意味があることを、穏やかに説明すると良いでしょう。相互理解を深めることで、より豊かな多文化共生社会が築かれていきます。

オンラインでの参加 近年は、オンラインでの旧正月イベントも増えています。故郷の家族とビデオ通話で一緒に食事をする、オンライン春節パーティーに参加する、ライブ配信で故郷の春節イベントを視聴するなど、物理的な距離を越えて旧正月を祝う方法も活用しましょう。

日本在住の同郷コミュニティがオンラインイベントを開催することもあるので、SNSやコミュニティ掲示板で情報収集をおすすめします。

まとめ：日本で旧正月を楽しむために

旧正月は、東アジアの多くの国々で祝われる重要な文化行事ですが、日本では明治時代の改暦以降、新暦の正月が定着し、旧正月を祝う習慣は一般的ではなくなりました。しかし、沖縄や奄美など一部地域では今も旧正月の文化が色濃く残り、横浜中華街や神戸南京町、長崎では盛大な春節イベントが開催されています。

日本で暮らす外国人にとって、旧正月は故郷を思い出す特別な時期です。中華街のイベントに参加したり、中華系スーパーで食材を揃えて自宅でお祝いしたり、オンラインで故郷の家族とつながったりと、様々な方法で旧正月を楽しむことができます。

また、春節期間は中国からの訪日観光客が急増し、日本の観光業や小売業にとって重要な時期となっています。主要観光地は大変混雑しますが、それだけ日本が国際的な観光地として認知されている証でもあります。

旧正月は、文化の多様性を感じ、相互理解を深める良い機会です。日本人にとっては、身近にありながら知らなかった異文化に触れるチャンス、外国人にとっては自国の文化を大切にしながら日本社会と調和して暮らすヒントが得られる時期と言えるでしょう。

新暦の正月だけでなく、旧正月という別の「新年」の迎え方があることを知ることで、私たちの世界はより豊かで多彩なものになります。今年の旧正月には、中華街を訪れたり、旧正月料理に挑戦したりして、新しい文化体験をしてみてはいかがでしょうか。