はじめに
2024年11月5日、米国大統領選挙でドナルド・トランプ氏が勝利を収め、131年ぶりとなる大統領職への返り咲きを果たすことが決まりました。
トランプ氏の勝利は、暗号資産業界に大きな影響を与えることが予想されています。
特に注目されているのが、Securities and Exchange Commission(SEC:証券取引委員会)による規制の行方です。
目次
トランプ氏の暗号資産に対する態度の劇的な変化
【速報】🇺🇸 トランプ次期大統領は、アメリカを「世界のビットコイン・仮想通貨の中心地」にするという公約を果たすため、仮想通貨推進派の閣僚を任命する予定 https://t.co/7voUP4QywR pic.twitter.com/SUJt3i2UxE
— SOU⚡️仮想通貨 / ビットコイン (@SOU_BTC) November 12, 2024
興味深いことに、トランプ氏は以前、暗号資産に対して非常に懐疑的な立場をとっていました。
2019年には「ビットコインや暗号通貨のファンではない」と公言し、「価値は非常に変動が激しく、薄い空気のような根拠しかない」と批判的な見解を示していました。
しかし、2024年の大統領選挙に向けて、トランプ氏の姿勢は劇的に変化しました。
7月の共和党全国大会では、「民主党の違法で非アメリカ的な暗号資産抑圧を終わらせる」という力強い宣言を行い、「ビットコインのマイニングを行う権利を擁護する」という文言を選挙公約に盛り込みました。
さらに、ビットコインによる選挙資金の寄附も受け入れるようになりました。
SECの規制アプローチへの批判
現在のSECは、ゲイリー・ゲンスラー委員長の下で、暗号資産に対して厳格な規制姿勢を示しています。
特に問題視されているのが、「ハウイ基準」と呼ばれる判例法理を適用し、多くの暗号資産を「証券」として規制していることです。
この規制手法は、業界から「エンフォースメントによる規制」として強い批判を受けています。
具体的な規則やガイドラインを示さないまま、個別の事案で法執行を行うというアプローチが、暗号資産ビジネスの予測可能性を著しく低下させているというのです。
ゲンスラー委員長の去就と今後の展望
トランプ氏は、「ビットコイン2024」カンファレンスでの演説で、「大統領就任初日にゲンスラーSEC委員長を解任する」と宣言しました。
法的には即座の解任が可能かどうか議論の余地がありますが、政権交代に伴いゲンスラー氏が自主的に辞任する可能性が高いと見られています。
新政権下でのSECは、これまでの強硬な規制姿勢を修正することが予想されます。
ただし、これは暗号資産に対する規制の完全な撤廃を意味するわけではありません。特に以下のような方向性が予想されます。
- 悪質な詐欺的案件を除き、ハウイ基準の適用はより慎重になる
- 十分に分権化された暗号資産(ビットコインやイーサリアムなど)は規制対象外に
- 特定の「発行者」が存在する暗号資産プロジェクトは引き続き規制対象に
- より明確な規制の枠組み作りが進む可能性
新たな立法の可能性
今回の選挙で共和党が上院の多数派を奪還したことで、暗号資産規制に関する新たな立法が実現する可能性が高まっています。
注目されているのが、暗号資産の規制権限をSECとCFTC(商品先物取引委員会)で明確に分担する案です。
例えば、分権化したブロックチェーン上の暗号資産の現物取引はCFTCが、まだ十分に分権化していない証券的な性質を持つ暗号資産はSECが規制するといった枠組みが検討されています。
残される課題
しかし、仮に新たな立法が実現したとしても、いくつかの重要な課題は残されています。
- 証券として規制される暗号資産の発行者が開示すべき情報の範囲
- 暗号資産取引所に対する具体的な規制の内容
- SECとCFTCの二重規制を受ける可能性のある取引所への対応
- 新たな技術やサービスへの規制の適用方法
トランプ次期大統領 ビットコイン まとめ
トランプ次期大統領の誕生は、米国の暗号資産規制に大きな転換点をもたらす可能性があります。
しかし、それは無秩序な規制緩和ではなく、より明確で予測可能な規制の枠組み作りにつながる可能性が高いと見られています。
暗号資産業界にとって重要なのは、この変化を単なる規制緩和の機会としてではなく、持続可能な制度作りのチャンスとして活かしていくことでしょう。
今後の動向に、世界中の暗号資産関係者の注目が集まっています。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。(^^♪