はじめに
大阪・関西万博の開催地となる夢洲で、重要インフラ施設の建設予定地でありながら、売却が進まない市有地の問題が注目を集めています。
建物はほぼ完成し、買い手も決まっているにもかかわらず、なぜ売却契約が締結できないのか、その背景を探ってみましょう。
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売却を阻む価格の壁
万博会場近くの市有地売却めぐり異例の展開 地価を再算定へ https://t.co/xJuil4YfgZ
— 朝日新聞(asahi shimbun) (@asahi) February 14, 2025
二転三転する評価額
この問題の発端は、2023年4月に市が不動産鑑定業者に依頼した最初の評価額にあります。
当初、1平方メートルあたり約15万円(総額約8億円)という評価が出されましたが、市不動産評価審議会ではこの金額に疑問の声が上がりました。
その後、複数の不動産鑑定業者による再評価を経て、最終的に1平方メートルあたり約33万円(総額約18億円)という、当初の2倍以上の評価額が示されることになりました。
契約締結の機会損失
興味深いのは、関西電力送配電は既に変電所をこの土地に建設中であり、万博開幕に合わせての完成を予定していることです。
現在は土地を借用する形で工事を進めており、賃料を支払い続けている状況です。早期に購入していれば不要となった出費が続いているわけです。
異例づくしの展開
5社による評価の実施
通常、市有地の評価においてここまで多くの不動産鑑定業者が関わることは極めて異例です。
この案件では計5社が評価を行い、それぞれの評価額に基づいて市は審議会への諮問を行っています。
法的制約との綱引き
市の担当者によれば、地方自治法上、市有地は「適正な対価」で売却することが求められています。
この「適正な対価」とは時価を指し、審議会で承認された価格がそれに該当します。値引きは法令上可能とされているものの、前例がないとのことです。
見えない着地点
継続する協議
関西電力送配電側は「購入の意思に変わりはない」としており、市側も「引き続き協議を続ける」と表明しています。
しかし、契約締結の期限とされた2023年10月10日を過ぎた現在、新たな評価額の算定と審議会での承認という手続きを再度行う必要が生じています。
背景に潜む課題
不動産関係者からは「関電側は、購入時期が遅れるほど損になることを承知しているはず。何らかの裏事情があるのでは」という指摘も出ています。
市内全体の地価上昇傾向が続く中、再評価による更なる価格上昇も予想され、事態の解決を複雑にしている要因となっています。
まとめ
万博会場の重要インフラとなる変電所の建設地でありながら、売却が進まないこの案件は、行政における資産評価の難しさと、公共の利益と適正価格のバランスをどう取るかという課題を浮き彫りにしています。
契約締結に向けた両者の協議は続いていますが、地価上昇が続く中、着地点を見出すのは容易ではなさそうです。
この問題の行方は、今後の公共施設用地の売却における重要な先例となる可能性を秘めています。
最後までお読み頂きましてありがとうございました。(^^♪