はじめに
日本の広大な領空を守り、24時間365日体制で空からの脅威に備えている航空自衛隊。スピードが命となる現代の航空戦において、全国に配置された航空自衛隊の「基地」は、日本の防空ネットワークを支える最重要拠点です。
この記事では、全国の航空自衛隊の主要基地を中心に、その所在地や配備されている戦闘機などの機種、各基地の役割から、大人気の「航空祭」情報までを徹底的に解説します。
航空自衛隊の主な基地一覧|所在地や配備機種をわかりやすく紹介

航空自衛隊の拠点は、日本の地理的形状に合わせて全国にバランスよく配置されています。まずは地域ごとの主要な基地の全体像を見ていきましょう。
航空自衛隊の基地は全国に何か所ある?
航空自衛隊が運用する主要な「基地(航空機が発着する滑走路を持つ施設など)」は、全国に24か所あります。さらに、これらを補完する形で、全国の山頂や沿岸部、離島に配置されたレーダーサイト(警戒航空団の部隊など)やミサイル部隊が所在する「分屯基地(ぶんとんきち)」が多数存在します。
航空自衛隊の主な基地一覧表
| 基地名 | 所在地 | 主な配備機種・役割 |
| 千歳基地 | 北海道千歳市 | F-15J/DJ。北の大空を守る最前線基地 |
| 三沢基地 | 青森県三沢市 | F-35A、E-2D。日米共同利用の最新鋭戦闘機拠点 |
| 百里基地 | 茨城県小美玉市 | F-2A/B。首都圏防衛を担う唯一の戦闘機基地 |
| 小松基地 | 石川県小松市 | F-15J/DJ。日本海側の防空を担う精鋭基地(飛行教導群も所在) |
| 築城基地 | 福岡県行橋市 | F-2A/B。九州北部および対馬海峡などの防衛拠点 |
| 新田原基地 | 宮崎県児湯郡新田原 | F-15J/DJ。南九州の防衛とパイロット育成の拠点 |
| 那覇基地 | 沖縄県那覇市 | F-15J/DJ。緊張感高まる南西諸島の防空の要 |
北海道・東北地方の航空自衛隊基地一覧
北方の脅威に備えるエリアであり、広大な領空の警戒監視と防空を担っています。
・千歳基地(北海道):第2航空団(F-15)
・三沢基地(青森県):第3航空団(F-35A)、警戒航空団(E-2D)
・松島基地(宮城県):第4航空団(F-2B・ブルーインパルス)
・秋田分屯基地(秋田県):秋田救難隊
関東・中部地方の航空自衛隊基地一覧
首都圏の防衛や、広大な太平洋側の防空、さらには輸送や教育の拠点が集結しています。
・百里基地(茨城県):第7航空団(F-2)
・入間基地(埼玉県):中部航空警戒管制団、第2輸送航空隊(C-2など)※隊員数が日本最多の基地
・小牧基地(愛知県):第1輸送航空隊(C-130H、KC-767)
・小松基地(石川県):第6航空団(F-15)
・静浜基地(静岡県):第11飛行教育団(T-7)
・浜松基地(静岡県):第1航空団(T-4)、警戒航空団(E-767)
近畿・中国地方の航空自衛隊基地一覧
主に教育や情報収集、防空ミサイル部隊などのバックアップ拠点が配置されています。
・奈良基地(奈良県):航空自衛隊幹部候補生学校(滑走路のない基地)
・美保基地(鳥取県):第3輸送航空隊(C-2、T-400)
・防府北基地(山口県):第12飛行教育団(T-7)
・防府南基地(山口県):航空教育隊
四国・九州地方の航空自衛隊基地一覧
南西方面への即応展開能力を高めるため、強力な戦闘機部隊が配置されているエリアです。
・築城基地(福岡県):第8航空団(F-2)
・春日基地(福岡県):西部航空方面隊司令部(滑走路のない基地)
・新田原基地(宮崎県):第5航空団(F-15)
沖縄地方の航空自衛隊基地一覧
近年の安全保障環境において、最もスクランブル(緊急発進)回数が多く、重要視されている最前線です。
・那覇基地(沖縄県):第9航空団(F-15)が所在。民間航空機と同じ滑走路を共有しながら、24時間体制で南西諸島の広い空をカバーしています。
基地と分屯基地の違いとは?
航空自衛隊における「基地」とは、防衛大臣によって指定された常駐の自衛隊施設を指し、多くは自前の滑走路や大規模な司令部を持っています。
一方、「分屯基地」とは、地理的に離れた場所に置かれた小規模な施設のことです。主に山頂などのレーダーサイト(不審な航空機を監視する施設)や、ペトリオット(PAC-3)などの地対空ミサイルを配置した部隊がこれに該当し、管理上は親となる近くの主要基地の隷下に置かれます。
航空自衛隊の基地が果たす役割とは?日本の防空体制を支える重要拠点を解説
全国の航空自衛隊基地は、日本の主権を空から守るための緊密なネットワークを形成しています。その具体的な役割を解説します。
航空自衛隊の主な任務とは?
航空自衛隊の最大の任務は「対領空侵犯措置」と「航空優勢(制空権)の維持」です。日本に近づく正体不明の航空機に対して、領空を侵犯される前に迎撃体制を整え、日本の空の安全を確保し続けることが求められます。
日本の防空体制と航空自衛隊の役割
空からの侵略は、新幹線やミサイルのように圧倒的なスピードで行われます。そのため、航空自衛隊は全国のレーダーサイトで日本周辺の空を24時間監視し、異常があれば数分以内に戦闘機を発進させることができる強固な防空体制(JADGEシステムなど)を維持しています。
航空方面隊とは?各方面隊の担当エリアを紹介
航空自衛隊は、日本全国を4つの防衛担当エリアに分け、それぞれの地域に「航空方面隊(こうくうほうめんたい)」を配置しています。
・北部航空方面隊(司令部:三沢):北海道・北東北エリアを担当。
・中部航空方面隊(司令部:入間):南東北・関東・中部・近畿エリアを担当。
・西部航空方面隊(司令部:春日):中国・四国・九州エリアを担当。
・南西航空方面隊(司令部:那覇):沖縄・南西諸島エリアを担当。
スクランブル発進とは?
日本の領空(沿岸から約22キロメートルの空域)に侵入するおそれのある国籍不明機が「領空外側の警戒区域」に入った際、航空自衛隊の戦闘機が緊急で飛び立つことを「スクランブル(対領空侵犯措置)」と呼びます。
隊員たちは、指令から5分以内に2機ペアの戦闘機を離陸させる実戦体制を年中無休で維持しています。
災害派遣や国際協力における役割
航空自衛隊は戦闘機だけでなく、大型輸送機(C-2やC-130H)を多数保有しています。大規模災害が発生した際には、陸上自衛隊の部隊や救援物資を被災地へ高速でピストン輸送します。また、海外での国際緊急援助活動や、PKO(国連平和維持活動)における物資輸送、在外邦人の救出任務でも重要な役割を果たします。
近年の安全保障環境と航空自衛隊基地の重要性
東シナ海や日本海周辺における周辺国の軍事活動の活発化に伴い、戦闘機のスクランブル回数は高い水準が続いています。特に南西方面(沖縄)や日本海側の基地では緊張感が極めて高く、最新鋭のステルス戦闘機の配備など、基地の防衛力・即応力の強化が急ピッチで進められています。
航空自衛隊の主要基地の特徴と配備機種を紹介
航空自衛隊が運用する3つの主要な国産・海外製戦闘機(F-35、F-15、F-2)が、どの基地にどのように配備されているのか、基地の特徴とともに見ていきましょう。
千歳基地の特徴と配備機種
北海道の玄関口である新千歳空港に隣接する基地です。
・配備機種:F-15J/DJ、U-125A、UH-60J、政府専用機(B-777)
・特徴:古くから北方の防衛ラインとして最前線に立ち続けてきた歴史ある基地です。日本の最高要人を運ぶ「政府専用機」の運用基地としても知られています。
三沢基地の特徴と配備機種
青森県三沢市にあり、航空自衛隊とアメリカ空軍、さらには民間空港(三沢空港)が滑走路を共同利用しているユニークなトリプル共用基地です。
・配備機種:F-35A、E-2D(早期警戒機)、RQ-4(無人偵察機グローバルホーク)
・特徴:最先端のステルス戦闘機F-35Aが国内で初めて配備された、自衛隊最新鋭の航空作戦能力を誇る基地です。
百里基地の特徴と配備機種
茨城県に位置し、首都圏に最も近い戦闘機基地です。茨城空港としても民間共用されています。
・配備機種:F-2A/B、UH-60J
・特徴:かつてはF-4ファントムや偵察機の聖地として有名でしたが、現在は国産の対艦攻撃能力に優れた戦闘機F-2が集結し、首都圏や太平洋側の防空を担っています。
小松基地の特徴と配備機種
石川県小松市にあり、日本海側をカバーする唯一の戦闘機基地です。
・配備機種:F-15J/DJ
・特徴:対岸諸国に対する日本海防衛の要です。ここには自衛隊最強のパイロット集団であり、仮想敵国役を務める「飛行教導群(アグレッサー)」が所在することでも非常に有名です。
築城基地の特徴と配備機種
福岡県行橋市に位置し、瀬戸内海と対馬海峡に睨みを利かせる位置にあります。
・配備機種:F-2A/B
・特徴:有事の際に東シナ海や日本海へ即座に向かえる優れた立地にあり、F-2戦闘機による高い対艦・対地攻撃能力を活かした機動的な運用が行われています。
新田原基地の特徴と配備機種
宮崎県の広大な台地に位置する、戦闘機パイロットたちの故郷とも言える基地です。
・配備機種:F-15J/DJ、UH-60J
・特徴:実戦部隊だけでなく、戦闘機パイロットの最終教育を行う「第23飛行隊」が所在し、日々若い精鋭を育て上げています。近年、F-35B(短距離離陸・垂直着陸型)の配備計画なども進められています。
那覇基地の特徴と配備機種
沖縄県那覇市にあり、那覇空港と滑走路を共有しています。
・配備機種:F-15J/DJ、E-2C/D、CH-47J
・特徴:南西方面のスクランブル激増に伴い、戦闘機部隊が2個飛行隊(約40機体制)に倍増された、現在日本で最も多忙かつ実戦的な最前線基地です。
F-35が配備されている基地一覧
最新鋭の第5世代ステルス戦闘機F-35(F-35A)は、現在のところ青森県の三沢基地に集約されて配備が進んでいます。
F-15が配備されている基地一覧
日本の主力戦闘機であるF-15J/DJイーグルは、以下の主要基地に配備されています。
・千歳基地(北海道)
・小松基地(石川県)
・新田原基地(宮崎県)
・那覇基地(沖縄県)
F-2が配備されている基地一覧
日米共同開発のマルチロール(多用途)戦闘機F-2は、以下の基地に配備されています。
・三沢基地(青森県)※一部部隊
・百里基地(茨城県)
・松島基地(宮城県)※教育用のF-2Bのみ
・築城基地(福岡県)
航空自衛隊の航空祭や基地見学情報|一般公開イベントを紹介
戦闘機が大迫力で大空を舞う航空自衛隊のイベントは、毎年多くの方を魅了しています。その魅力と見どころを紹介します。
航空祭とは?毎年開催される人気イベント
「航空祭(こうくうさい)」とは、各基地が年に1回、日頃の活動を地域住民に公開するために開催する大規模なオープンベース(一般開放)イベントです。入場は無料で、戦闘機による機動飛行や、様々な自衛隊機の地上展示、音楽隊の演奏、模擬店の出店などが楽しめます。
ブルーインパルスが見られる主な基地
航空自衛隊の華であるアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」は、宮城県の松島基地(第4航空団第11飛行隊)に常駐しています。そのため、松島基地の航空祭では確実にその演技を見ることができるほか、全国各地の主要な基地の航空祭にもスケジュールに合わせてゲストとして飛来し、美しいスモークで大空を彩ります。
千歳基地航空祭の見どころ
例年夏(7月〜8月頃)に開催されます。北の大地ならではの澄んだ青空をバックに、F-15のダイナミックな大編隊飛行や、政府専用機(B-777)が戦闘機と並んで飛ぶ、千歳基地でしか見られない圧巻の光景が最大の魅力です。
百里基地航空祭の見どころ
首都圏から最もアクセスしやすいため、毎回非常に多くのファンが訪れます。茨城の空をF-2戦闘機が凄まじい爆音とともに低空で急旋回・急上昇する、戦闘機本来の「機動飛行」の迫力を間近で体感できます。
新田原基地航空祭の見どころ
南九州の穏やかな気候の中で開催される航空祭です。戦闘機パイロットの養成基地であるため、教官や訓練生たちによる一糸乱れぬハイレベルな飛行テクニックや、F-15による激しい模擬戦闘訓練を見ることができます。
那覇基地エアーフェスタの見どころ
例年12月頃に開催される、1年の締めくくりとなる航空祭です。南国沖縄の暖かい気候の中、民間航空機が頻繁に離着陸する合間を縫って自衛隊機が飛び立つ独特の緊迫感と活気があります。また、夕方から夜にかけて戦闘機がアフターバーナー(炎)を噴き出して離陸する「ナイト(夜間)飛行」が公開されることもあり、非常に人気があります。
基地見学の申し込み方法と注意点
航空祭以外の平日に基地の中を見学したい場合は、各基地の公式ホームページにある「広報窓口」から事前申し込み(抽選や予約制)を行うことができます。見学の際は以下の点に注意してください。
・身分証明書(運転免許証やパスポートなど)の提示が必須
・滑走路周辺など、安全上の理由からサンダルやハイヒールでの入場は禁止
・撮影が禁止されているエリア(格納庫の奥の装備品など)では絶対にカメラを向けない
航空自衛隊の基地に関するよくある質問
航空自衛隊の拠点について、よくある疑問にわかりやすくお答えします。
日本最大の航空自衛隊基地はどこ?
敷地面積や滑走路の規模ではなく「籍を置く隊員の数(約4,000人以上)」や「保有する輸送機の物流量」という規模で言えば、埼玉県の入間基地が日本最大の航空自衛隊基地です。ただし、戦闘機部隊の規模で言えば、沖縄の那覇基地や青森の三沢基地が最大級となります。
航空自衛隊の基地は全部で何か所の駐屯地がある?
航空自衛隊の主要な「基地」は全国に24か所です。小さなレーダーサイトやミサイル配置サイトである「分屯基地」を含めると、全国に70か所以上の拠点があります。
航空方面隊はいくつある?
「北部」「中部」「西部」「南西」の4つの航空方面隊に分かれており、日本全国の空を網羅して守っています。
戦闘機基地は何か所ある?
現在、実戦的な戦闘機(F-35、F-15、F-2)の飛行隊が常駐している主要な基地は、全国に7か所(千歳・三沢・百里・小松・築城・新田原・那覇)あります。これに教育用の松島基地を加えることもあります。
F-35はどこの基地に配備されている?
ステルス戦闘機F-35Aは青森県の三沢基地に配備されています。また、垂直着陸が可能なF-35Bについては、今後宮崎県の新田原基地などへの配備が進められる計画です。
一般人でも基地見学はできる?
はい、できます。各基地が用意している平日などの一般見学ツアーに事前応募するか、年1回の航空祭の日であれば、特別な手続きなしで誰でも自由に基地内に入ることができます。
航空祭は誰でも参加できる?
基本的には誰でも無料で自由に参加できます。ただし、近年の混雑緩和や安全対策のため、一部の基地や特定の観覧エリア(有料観覧席など)については、事前にインターネットなどでの応募・抽選が必要になるケースが増えていますので、必ず事前に各基地の公式X(旧Twitter)やウェブサイトを確認してください。
航空自衛隊の基地 一覧:まとめ
日本の空の安全と平和を最前線で維持し続ける、航空自衛隊の基地についてのまとめです。
航空自衛隊の基地は日本の空を守る重要拠点
全国に配置された24の基地と多くの分屯基地は、24時間体制で不審な航空機に睨みを利かせる、日本の防空シールドそのものです。
基地ごとの役割や配備機種を理解しておこう
北の防空を担う千歳、最新鋭ステルスの三沢、首都を守る百里、日本海側の小松、南西方面最前線の那覇など、各基地はそれぞれの地理的リスクに応じた最適な戦闘機や警戒機を配備して機能しています。
航空祭や見学会を通じて航空自衛隊への理解を深めよう
爆音を響かせて大空を駆ける戦闘機の姿や、一糸乱れぬブルーインパルスのフライトが見られる航空祭は、自衛隊の技術力と日頃の訓練の成果を最も身近に体感できる素晴らしいイベントです。
ぜひ機会を見つけて近くの基地のイベントに足を運び、日本の空の守りについて関心を深めてみてください。
最後までお読み頂きましてありがとうございました。(^^♪
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