はじめに
2025年2月、アメリカの対外援助を担う重要機関USAIDの閉鎖が進められるなか、世界中で懸念の声が広がっています。
60年以上にわたり人道支援や開発援助の最前線で活動してきたUSAIDは、トランプ大統領の決定により、その歴史に幕を下ろそうとしています。
なぜこのような事態に至ったのか、そしてUSAIDとはそもそもどのような機関なのか。世界最大の援助国アメリカの対外支援の要となってきた組織の全容と、その行方を探ります。
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USAIDの概要と設立背景
USAIDめぐるトランプ氏の主張拡散 名指しされたメディアは否定https://t.co/KwmNgGCfRF #トランプ再来
— 朝日新聞国際報道部 (@asahi_kokusai) February 15, 2025
トランプ米大統領が発した米国際開発局(USAID)をめぐるSNSへの投稿により、混乱が広がっている。
アメリカ合衆国国際開発庁(USAID)は、1961年にジョン・F・ケネディ大統領の行政命令により設立された、アメリカの非軍事的な海外援助を一手に担う政府機関です。
設立の背景には、第二次世界大戦後の欧州復興を支援したマーシャル・プランや、トルーマン大統領のポイント・フォー・プログラムの経験がありました。
主な活動内容と規模
USAIDは世界60カ国以上に拠点を持ち、約1万人の職員を擁する大規模な援助機関として以下の活動を展開してきました:
- 人道支援や開発援助
- 医療衛生の改善
- 教育発展支援
- 民主主義の強化
- 多文化共生社会の実現
- 女性の権利擁護
- 性的少数者への支援
年間予算は約400億ドル(約6兆1千億円)に上り、世界最大の対外援助提供国としてのアメリカの中核を担っています。
日本との協力関係
USAIDは日本の国際協力機構(JICA)と長年にわたり密接な協力関係を築いてきました。
1993年には日米コモン・アジェンダの下で援助協調を推進し、2002年には保健分野での日米パートナーシップを確立。さらに2024年9月には国際保健分野での協力深化に関する覚書を締結しています。
また、2018年の西日本豪雨の際には、日本国内のNPO法人に対して約1,100万円の緊急支援を実施するなど、日本国内の災害支援にも関与してきました。
現在直面する課題と混乱
トランプ政権下での閉鎖方針
2025年1月、トランプ大統領は2期目就任直後にUSAIDの対外援助資金を凍結し、組織の再編を指示。この決定により、世界中の人道支援プログラムに大きな影響が出ています。
さらに、新設された政府効率化省のイーロン・マスク長官の下で、USAIDの完全閉鎖に向けた手続きが進められています。
メディアとの関係をめぐる論争
最近では、USAIDから特定のメディアへの資金提供に関する疑惑が浮上し、議論を呼んでいます。
トランプ氏は、ポリティコやニューヨーク・タイムズなどのメディアがUSAIDから資金提供を受けているという主張を展開しましたが、これら各メディアは強く否定しています。
今後の展望:まとめ
USAIDの閉鎖方針に対しては、民主党や国際人道支援団体から強い反発の声が上がっています。
議会の承認なしでの閉鎖は違法であるとの主張もあり、今後の展開が注目されています。
一方で、トランプ政権は対外援助の見直しが「米国の利益と安全保障強化のために必要」と主張し、一部機能の国務省への統合を検討しています。
この動きは、世界の人道支援活動に大きな影響を与える可能性があり、国際社会からも懸念の声が上がっています。
最後までお読み頂きましてありがとうございました。(^^♪