はじめに
自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)は、すべての自動車ユーザーが加入を義務付けられている強制保険です。
交通事故の被害者保護を目的として設立された制度ですが、近年その運用をめぐって大きな課題に直面しています。
今回は、2024年12月に明らかになった自賠責保険の運用益返済問題を通じて、この制度の現状と課題について詳しく解説していきます。
自賠責保険とは
〉一般会計への貸し出しは税金ではなく自動車ユーザーが支払った自賠責保険料
— Toshi-Nomura@tokyo (@toshi_UsRoute66) December 29, 2024
約2兆円の潤沢な資金に目をつけた財務省の借入は約30年前から始まり、2024年現在でも残債は5806億円
「ぜひこのペースで返済をの6千億円“100年返済問題”で進歩 40年早くなる!? でも全く喜べないhttps://t.co/V44rt6Rwp1
自賠責保険は、交通事故による被害者の保護を確実にするため、自動車の保有者に対して加入が法律で義務付けられている保険制度です。
この保険料から得られる運用益は、本来、交通事故被害者の救済や支援に使用されるべき財源です。
返済問題の経緯
約30年前、財務省は自賠責保険の運用益から約2兆円を一般会計に借り入れました。
これは自動車ユーザーが支払った保険料から得られた資金であり、税金ではありません。2024年度末時点での残債は5,806億円に上ります。
2024年度の返済状況
2024年度は、当初予算で65億円、補正予算で35億円の合計100億円の返済が実現しました。
これは2018年の返済再開以来、最大規模となります。それまでの6年間の平均返済額が52億円だったことを考えると、大きな進展といえます。
返済ペースの課題
しかし、この返済ペースにも課題があります:
- 完済までの期間
- 従来の返済ペース(年間52億円)では約110年
- 新ペース(年間100億円)でも約60年が必要
- いずれも現実的とは言えない長期間
- 返済に関する取り決め
- 財務省と国土交通省の大臣間合意では最低返済額を54億円と定めているのみ
- 全額返済の明確な期限は設定されていない
- 合意の有効期限は2027年までと短期
自動車ユーザーへの影響
返済の遅れは、直接的に自動車ユーザーの負担増加につながっています。2023年4月からは、保険料に「賦課金」が上乗せされる事態となっています。
これは本来、国が責任を持って返済すべき資金を、実質的に利用者に転嫁している形となっています。
今後の展望
「自賠責制度を考える会」は、返済時期の明確化と返済計画の具体的な提示を求めています。
2025年度予算案では前年度と同額の65億円の返済が決まりましたが、依然として全額返済への道筋は不透明な状況が続いています。
課題解決に向けて
今後は以下の点が重要となってきます:
- 返済計画の明確化
- 具体的な完済時期の設定
- 年間返済額の段階的な増額
- 長期的な返済スケジュールの策定
- 透明性の確保
- 返済状況の定期的な公開
- 運用益の使途の明確化
- 自動車ユーザーへの説明責任
自賠責保険とは まとめ
自賠責保険は交通事故被害者の保護という重要な社会的役割を担っています。
その運用益の適切な管理と返済は、単なる財政問題ではなく、交通安全と社会正義に関わる重要な課題といえます。
今後は、より具体的な返済計画の策定と、自動車ユーザーの負担軽減に向けた取り組みが求められています。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。(^^♪