はじめに
近年、日韓関係において大きな焦点となっている元徴用工訴訟について、その背景から最新の動向まで詳しく解説します。
2025年2月、ソウル中央地裁が三菱重工業に対して約870万円の資産取り立てを認める判決を下し、この問題は新たな局面を迎えています。
目次 [非表示]
元徴用工問題とは
元徴用工訴訟、三菱重工の韓国内の資産取り立て認める…ソウル地裁判決 https://t.co/DQUABeB2KI#国際
— 読売新聞オンライン (@Yomiuri_Online) February 18, 2025
第二次世界大戦中、当時の日本統治下にあった朝鮮半島から多くの労働者が日本で働きました。この労働者の動員方法には主に3つの形態がありました:
- 自由募集:日本企業による直接募集
- 官斡旋:朝鮮総督府による募集
- 徴用:1944年9月以降の強制的な動員
これら旧朝鮮半島出身労働者およびその遺族による補償請求が、現在の「元徴用工訴訟」の核心となっています。
日韓請求権協定と補償問題
1965年の日韓合意
1965年に締結された日韓請求権協定では、両国間の請求権問題は「完全かつ最終的に解決された」とされました。
日本は無償で3億ドルを韓国に提供し、この中に労働者への補償も含まれていました。
韓国政府による補償
韓国政府は1970年代に被害者一人当たり30万ウォンを支給しました。その後、2005年に盧武鉉政権下で補償が不十分だったとの結論が出され、特別法により追加補償が行われました。
近年の司法判断と両国の対立
2018年韓国大法院判決
2018年、韓国大法院(最高裁)は画期的な判決を下しました。1965年の協定で個人の請求権は消滅していないとし、日本企業に賠償を命じたのです。
この判決により、日本製鉄(旧新日鉄住金)と三菱重工業に対する賠償命令が確定しました。
両国政府の立場
- 日本政府:1965年の協定で解決済みとの立場を堅持
- 韓国政府:2023年3月、尹錫悦大統領が新たな解決案を提示
現状と今後の展望:まとめ
2022年6月時点で、原告数は1000人以上、被告企業は115社に上ります。特に注目すべきは、30件以上の訴訟が係争中で、そのうち9件が大法院で審理中という状況です。
最新のソウル中央地裁判決では、三菱重工業の韓国内資産の取り立てが認められ、実質的な賠償執行に向けて一歩前進しました。
しかし、この問題は単なる法的争いを超えて、日韓関係の根幹に関わる外交課題となっています。
今後は、以下の点が注目されます:
- 他の係争中の訴訟の行方
- 韓国政府による解決案の実効性
- 日本政府の対応と国際司法裁判所への提訴可能性
両国の歴史認識と法的解釈の違いが浮き彫りとなった本問題。その解決には、法的側面だけでなく、歴史的和解と未来志向の対話が不可欠といえるでしょう。
最後までお読み頂きましてありがとうございました。(^^♪