はじめに
近年、世界の航空産業界で異彩を放っているのがインドの存在です。
世界最大規模の航空機発注を立て続けに行う一方で、自国での航空機製造も着実に進めています。
エア・インディアとインディゴによる合計1000機近い旅客機の発注は、まさに「爆買い」と呼ぶにふさわしい規模でした。
しかし、インドの航空産業への野心はそれだけにとどまらないかもしれません。
経済成長率8%台を誇り、「メイク・イン・インディア」政策を掲げるインドは、かつての中国のように自国での旅客機開発を目指す可能性を秘めているのでしょうか。
今回は、インドの航空機産業の躍進についてご紹介します。
急成長する経済と航空需要
【旅客機「爆買い大国」は自国製造に乗り出すか? 勢いスゴい! それは「中国製旅客機の開発前夜」に似ている】https://t.co/qFFGWND8ld
— 乗りものニュース (@TrafficNewsJp) December 23, 2024
インドは「メイク・イン・インディア」政策のもと、製造業への積極的な投資を推進しています。
2022年度のGDP成長率7.0%、2023年度8.2%という力強い経済成長は、航空需要の拡大を後押ししています。
インドの航空機製造の現状
実は、インドはすでに航空機製造の分野で一定の実績を持っています:
- ヒンドスタン航空機(HAL)による軍用機開発
- 軽戦闘機「テジャス」の開発・生産
- ボーイング737の垂直尾翼の国内生産
- エアバスC-295の最終組立工場の設立
中国との比較:異なる道のり
インドの現状は、かつての中国の航空産業発展期を彷彿とさせます。しかし、両国のアプローチには明確な違いがあります:
- 中国:C919の開発を通じて世界市場での存在感確保を目指す
- インド:より段階的なアプローチを採用し、国際協力を重視
今後の展望と課題
インドが旅客機の自国開発に踏み切るまでには、まだいくつかの課題が残されています:
- 技術力の更なる向上
- 国際的な型式証明の取得
- 開発コストと経済性の両立
現時点では、インドは既存の航空機メーカーとの協力関係強化に注力しており、将来の自国開発に向けた布石を打っているとも考えられます。
「爆買い大国」とは まとめ
インドの航空産業は今、大きな転換点を迎えています。
世界最大級の旅客機発注で「爆買い大国」としての存在感を示す一方、軍用機開発の実績や航空機部品の製造など、着実に技術力を蓄積しています。
ボーイングやエアバスとの協力関係を深めながら、将来的な自国開発への布石を打っているようにも見えます。
しかし、旅客機開発には安全性、快適性、経済性の確保、そして欧米の型式証明取得という高いハードルが待ち受けています。
インドが「爆買い大国」から「製造大国」へと進化を遂げるまでには、まだ時間が必要かもしれません。
ただし、その歩みは着実に、そして確実に進んでいるように見えます。今後のインドの航空産業の展開から、目が離せません。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。(^^♪