はじめに
メジャーリーグ(MLB)のオフシーズン、選手の補償と球団の将来の戦力構築を左右する「クオリファイング・オファー(QO)」は、一体どのような仕組みなのでしょうか。
毎年、球団の戦略と選手の未来を左右するこの複雑な制度の全容を、わかりやすく解説します。
FA市場の舞台裏で繰り広げられる、球団と選手の知られざる攻防を紐解いていきます。
目次
クオリファイング・オファーとは?
ドジャースがT・ヘルナンデス外野手に33億円のクオリファイング・オファー(QO)を提示。
— ショウタイムズ【公式】 (@shoutaimuzu) November 4, 2024
昨季より年俸ダウンのため拒否が確実視。
QOはFA選手への1年契約オファーで、拒否時にドラフト指名権が移動する仕組み。#MLB #ドジャース #大谷翔平 #テオスカーヘルナンデス pic.twitter.com/gPT7ShXtFO
クオリファイング・オファーは、2012年オフシーズンから導入された制度で、フリーエージェント(FA)選手の移籍に関する補償とペナルティを定めるシステムです。
主に以下のポイントが特徴的です。
- 提示条件
- 元所属球団が選手に対して1年契約を提示
- 金額は年俸上位125選手の平均(2024年オフは2105万ドル、約32億円)
- 選手の選択肢
- 提示された契約を受諾して残留
- 提示を拒否して他球団との契約を目指す
興味深いことに、制度開始以来、提示された131人の選手のうち、残留を選択したのはわずか13人だけです。
クオリファイング・オファーの対象外となる選手
全てのFA選手がクオリファイング・オファーの対象になるわけではありません。
以下の選手は除外されます。
- 過去にクオリファイング・オファーを提示されたことがある選手
- シーズン途中で移籍した選手
ドラフト指名権の補償とペナルティ
クオリファイング・オファーを拒否して他球団に移籍した場合、球団は以下のようなドラフト指名権の補償とペナルティを受けます。
球団のグループ分け
MLBの球団は3つのグループに分類されます。
- ぜいたく税の基準額を超過したチーム
- 収益分配金を受け取る側のチーム
- 上記以外のチーム
補償とペナルティの詳細
各グループで、FA選手の移籍に伴うドラフト指名権の補償と、選手と契約した際のペナルティが異なります。例えば以下になります。
- グループ1の球団は、最大で2番目と5番目に高い順位のドラフト指名権を喪失
- グループ2の球団は、3番目に高い順位のドラフト指名権を喪失
- グループ3の球団は、2番目に高い順位のドラフト指名権を喪失
注目すべき球団
2024年オフの時点で、以下の球団が各グループに分類される見込みです。
- グループ1(ぜいたく税超過): アストロズ、ドジャース、ヤンキースなど9球団
- グループ2(収益分配金受取): マリナーズ、レイズ、ツインズなど14球団
- グループ3(その他): エンゼルス、カージナルス、レッドソックスなど7球団
クオリファイング・オファー まとめ
クオリファイング・オファーは、MLB球団にとって選手の残留を促し、同時にドラフト指名権を通じて将来の戦力確保を図るための複雑な制度です。
FA市場の戦略を理解する上で、この仕組みは非常に重要な役割を果たしています。
今後のFA市場の動向に注目してみましょう!
最後までお読みいただきましてありがとうございました。(^^♪