はじめに
宇宙の謎を解き明かすため、人類は常により優れた観測機器を開発してきました。その最新鋭の装置が、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)です。
2021年12月に打ち上げられたこの望遠鏡は、既に数々の重要な発見をもたらしています。
最近では冥王星の衛星カロンで二酸化炭素を検出するなど、太陽系の理解を深める成果を上げています。
次世代の宇宙望遠鏡の特徴
#すばる望遠鏡 では丸型に見える星が、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡では星型に見えます。地上では大気ゆらぎの影響で星の像がボヤけますが、大気のない宇宙空間では光の回折現象によって作られる像が見えるのです。(MA) #銀河のきほん pic.twitter.com/BWbv6BikS8
— 国立天文台 GALAXY CRUISE (@Galaxy_Cruise) February 4, 2025
JWSTは、ハッブル宇宙望遠鏡の後継機として開発された最新鋭の宇宙望遠鏡です。口径約6.5メートルの主鏡は、ハッブル望遠鏡の2.5倍にも及び、集光面積は7倍以上を誇ります。
この巨大な主鏡は18枚の六角形セグメントに分割され、打ち上げ後に宇宙空間で展開される革新的な設計を採用しています。
特筆すべきは、JWSTが赤外線観測に特化している点です。主鏡には赤外線をよく反射させるため金の蒸着が施されており、これが望遠鏡特有の金色の外観を生み出しています。
究極の観測環境を実現する技術
独自の軌道位置
JWSTは地球から約150万キロメートル離れた太陽-地球系のラグランジュ点(L2)付近を周回しています。
この位置は、地球と太陽からの不要な光や熱の影響を最小限に抑えることができる理想的な場所です。
革新的な遮光システム
精密な観測を可能にする重要な要素が、5層構造の遮光板です。
人の髪の毛ほどの薄さしかない各層が、太陽や地球からの熱や光を効果的に遮断し、望遠鏡本体を極低温(50K以下)に保つことを可能にしています。
期待される科学的成果
JWSTの主要な任務は、宇宙誕生から約2億年後に現れたとされる最初の星々(ファーストスター)の観測です。
また、系外惑星の大気組成の分析や、最近のカロンでの二酸化炭素検出のような太陽系天体の詳細な観測など、幅広い天文学的研究に貢献することが期待されています。
最新の観測成果
最近の研究では、JWSTを用いてカロンの表面で初めて二酸化炭素と過酸化水素を検出することに成功しました。この発見は、太陽系の形成過程を理解する上で重要な手がかりとなります。
開発の課題と今後:まとめ
JWSTの開発には、15カ国から集まった科学者やエンジニア、258の企業や政府機関、大学が参加する大規模なプロジェクトとなりました。
当初16億ドルと見積もられていた開発費用は最終的に97億ドルまで膨れ上がり、「天文学を喰らった望遠鏡」と評されるほどの巨大プロジェクトとなりました。
しかし、その投資に見合う成果が既に表れ始めています。打ち上げから約2年が経過し、次々と新たな発見をもたらしているJWSTは、人類の宇宙理解を大きく前進させる重要な観測装置として、今後も活躍が期待されています。
最後までお読み頂きましてありがとうございました。(^^♪















