はじめに
韓国の尹錫悦大統領の逮捕という歴史的な出来事を通じて、日本と韓国の刑事手続きの違いについて詳しく解説していきます。
両国は似たような法制度を持ちながらも、重要な違いがあることが今回の事件で明らかになりました。
目次
日韓の刑事手続きの共通点
韓国の刑事手続き、日本との違いは? 尹大統領の逮捕劇に特殊な事情https://t.co/UKZxuBCJOi
— 毎日新聞 (@mainichi) January 26, 2025
内乱容疑で逮捕されたユン大統領について、韓国メディアは近く起訴されるとの見通しを伝えています。日本と韓国の刑事手続きには共通点が多いのですが、違いもあります。どこが違うのでしょうか。
身体拘束に関する基本的な仕組み
両国とも、容疑者の身体拘束に関して以下の2段階の手続きが存在します：
- 逮捕（48時間以内）
- 勾留/拘束（20日間）
特に注目すべき点は、両国とも逮捕後の拘束時間が48時間と定められていることです。また、その後の勾留期間も20日間と同じです。
ただし、韓国では日本の「勾留」という用語に相当するものを「拘束」と呼びます。
重要な相違点
逮捕前置主義の有無
日本の刑事手続きの大きな特徴は「逮捕前置主義」にあります。これは、必ず逮捕を行ってから勾留に移行するという順序を定めた原則です。
一方、韓国ではこの原則が採用されていません。
韓国独自の拘束令状制度
韓国の制度では、逮捕状請求の手続きを経ずに、直接「拘束令状」を請求することが可能です。この違いは実務上、非常に重要な意味を持ちます：
- 拘束令状が発付されて初めて容疑者の行動の自由が制限される
- 政財界の要人が関与する事件では、この手続きが多用される
- 出頭要請に応じた場合、直接拘束令状請求に進むことが可能
尹錫悦大統領事件における特殊性
通常とは異なる手続きの適用
今回の尹大統領の事件では、通常とは異なる手続きが取られました：
- 出頭拒否により、逮捕状が請求される事態に
- 逮捕後に拘束という、日本型の順序で進行
- 高官犯罪捜査庁による拘束令状請求時には、既に逮捕・収監済み
韓国における逮捕状発付の要件
韓国の法制度では、逮捕状を発付するために以下の2つの要件を満たす必要があります：
- 犯罪実行の合理的な疑い
- 出頭要請への不応諾
この要件は、尹大統領の事件において重要な意味を持ちました。仮に出頭に応じていれば、逮捕状請求の手続きは不可能だったとされています。
日本と韓国の刑事手続きの違い：まとめ
日本と韓国の刑事手続きは、表面的には似ているように見えますが、実際には重要な違いが存在します。
特に、韓国における拘束令状制度の柔軟性は、日本の逮捕前置主義とは大きく異なります。
今回の尹大統領の事件は、両国の刑事手続きの違いを理解する上で非常に示唆的な事例となりました。
特に、出頭拒否という要素が加わったことで、通常とは異なる手続きの流れとなり、結果的に日本の制度に近い形で進行することとなりました。
このような違いを理解することは、両国の法制度や司法システムをより深く理解する上で重要な視点を提供してくれます。
今後も両国の司法制度の発展と変化に注目していく必要があるでしょう。
最後までお読み頂きましてありがとうございました。(^^♪
