はじめに
スコットランド南西部の雄大なエアシャー海岸線に広がるターンベリー・アイルサコース。1世紀以上の歴史を持つこの名門コースは、ゴルフの聖地として多くのゴルファーを魅了し続けています。
全英オープンの舞台としても知られるこのコースの魅力と現在の状況について詳しく見ていきましょう。
目次
壮大な歴史を持つチャンピオンシップコース
【TVガイド/あの時あの表紙あの番組(760)】
— しがない三四郎 (@shinya_bokudake) March 28, 2018
[77.06.24]トム・ワトソン/ジャック・ニクラウス
この週の『全米オープンゴルフ』に続き、
『全英オープンゴルフ』でもTBS系で放送
ターンベリー・アイルサコースでの試合は
「真昼の決闘」と称された死闘の末、ワトソンが優勝@retoro_mode pic.twitter.com/aUhxHQ6pcT
ターンベリー・アイルサコースは1901年に完成した歴史あるリンクスコースです。名前の由来はこの地を領地としていたアイルサ侯爵に由来しています。
パー71、6,474ヤードのこのコースは「見事なほど優雅で、驚くほどタフ」と評されるほど、その美しさと難度の高さで知られています。
スコットランドとアイルランドを隔てるクライド湾に面したこのコースは、沖合に浮かぶアイルサ島を望む絶景が広がります。
荒波、強風、濃霧といった自然の厳しさがプレーヤーを待ち受ける中、ターンベリー灯台を背景にしたホールは、世界中のゴルフ雑誌や写真集に度々登場する絶景スポットです。
伝説の名勝負の舞台
アイルサコースは4度の全英オープン開催地として、ゴルフ史に残る名勝負の舞台となってきました。
特に1977年の全英オープンでは、「帝王」ジャック・ニクラスと「新進気鋭」トム・ワトソンによる激闘「ザ・デュアル・イン・ザ・サン(白昼の決闘)」が繰り広げられました。
最終日の18番ホールまでもつれ込むこの戦いは、ゴルフの伝説として今も語り継がれています。2009年の全英オープンでは、59歳となったトム・ワトソンがスチュワート・シンクとの「真昼の死闘」を演じました。
また同大会では石川遼がタイガー・ウッズと同組でラウンドするという日本ゴルフ界にとっても記念すべき瞬間がありました。まさにプロゴルファーにとっても「夢の舞台」と呼ぶにふさわしいコースなのです。
近年の変遷とコース改修
2014年、アメリカの実業家ドナルド・トランプがこのリゾートを買収し、「トランプ・ターンベリー」と名称を変更しました。
トランプ氏は2億ポンド以上を投資し、2016年にはマーティン・エバートの手によってアイルサコースを大規模に改修。5つのホールが新設されるなど、さらに魅力的なコースへと生まれ変わりました。
この改修は『ゴルフ・インク・マガジン』から「年間最優秀再開発」に選ばれるなど高い評価を受けています。また、「キング・ロバート・ザ・ブルース・コース」という名の別の18ホールコースも2017年に整備されました。
このコースは1274年にこの地で生まれたとされるスコットランド王、ロバート・ザ・ブルースにちなんで名付けられています。
全英オープン復帰への障壁
“大統領命令”は通じない? R&Aがターンベリーでの全英開催に「NO」 | ゴルフ総合サイト ALBA Net https://t.co/X94C3S2FAT
— 秀の介💙💛@柏 (@hidenosuke) March 1, 2025
かつて全英オープンのローテーションコースとして名を連ねたターンベリーですが、2016年以降、全英の舞台から姿を消しています。その主な理由はオーナーであるトランプ氏の差別的発言にあるとされています。
全英を主催するR&Aやその他のゴルフ団体は「差別がある場所で大会は開催しない」という方針を掲げており、現在のターンベリーは世界最古のトーナメントを開催するのにふさわしくないと判断されているのです。
トランプ氏の悲願と現実
トランプ氏にとって、ターンベリーでの全英オープン開催復活は悲願となっています。最近ではキア・スターマー英国首相との会談でもターンベリーを称賛し、開催復帰を後押しする姿勢を見せました。
しかし、R&Aの新会長マーク・ダーボン氏は「全英オープンを運営する組織が、政府の利害関係者から働きかけを受けることはない」と明言。
さらに、ターンベリーの収益性についても「2009年大会の観客数は1週間で12万3000人だったが、現在は2倍の動員を見込める」と言及し、開催に消極的な姿勢を示しています。
リゾートとしての魅力
コース以外の魅力も豊富なターンベリー。20世紀初頭、ゴルフ場の開業後まもなくオープンしたエドワード朝スタイルのホテルは、コースに併設するゴルフリゾートとして草分け的存在です。
青空に映える白い建築に赤茶の屋根が特徴的で、クラシックなスタイルのレストラン「1906」、インフィニティプールを備えたスパなど、付帯施設も充実しています。
プロショップも欧州最大級の広さを誇り、オリジナルグッズや有名ブランドのゴルフウェア、土産物なども購入できます。
また、PGAのプロから指導を受けられるゴルフアカデミーも完備されており、初心者から上級者まで様々なレベルのゴルファーが楽しめる環境が整っています。
まとめ:訪れるなら最適シーズンは?
ターンベリーを訪れるベストシーズンは5月から9月。この時期は雨が比較的少なく、気温も10℃から20℃程度と過ごしやすいです。
また日照時間も1日あたり10〜15時間と長く、ゴルフに最適な環境です。10月から4月の冬の時期は気温が低く日照時間も短いため、ゴルフには適していません。
日本からのアクセスは、ヨーロッパ各都市を経由してグラスゴーへ約17時間。グラスゴー空港からターンベリーまでは車で約1時間の距離です。
エディンバラ空港を利用する場合は、ターンベリー中心部まで約145km、車で約1時間50分かかります。
歴史と伝統、そして厳しくも美しい自然が共存するターンベリー・アイルサコース。全英オープン復帰の道のりは険しいものの、その魅力は普遍的です。
「見事なほど優雅で、驚くほどタフ」なこのコースでのプレーは、ゴルファーにとって生涯忘れられない体験となるでしょう。
最後までお読み頂きましてありがとうございました。(^^♪